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2001.12.9 日本反核法律家協会 報告

「核兵器廃絶市民連絡会」の活動

内 藤 雅 義  弁護士

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私が昨年から連絡窓口になっている核兵器廃絶市民連絡会は、核兵器廃絶を求める市民の声を日本の核政策に反映させるということで、定期的に外務省交渉をしています。

 市民連絡会が一番意識しているのは、「如何にして普通の市民の核兵器廃絶の願いを政策に反映させるか」であり、そのひとつとして、情報公開、つまり、核政策がどういう発想で進められているかをはっきりさせることがあります。市民だけでなく専門家の協力も得ながら意見交換をすることによって、日本の外交政策と市民の意見の相違が明らかになります。そういう情報公開をもとに市民と政治家にも働きかけて核政策を変えたいと思っています。

 

8月10日「核軍縮:市民と外務省との対話集会」について

 衆議院議員会館で開催した対話集会でも、情報公開をひとつの重点とし、専門家と外務省の担当者との意見交換−この時は一方的に市民の側が外務省に質問をするという形でしたが−を行いました。専門家からは梅林宏道氏(ピースデポ)に出てもらいました。外務省からもそれなりの人に出てもらうために土肥隆一・衆議院外務委員長を通した結果、岡村善文・軍備管理軍縮課長だけではなく、中村耕一郎・総合外交政策局安全保障政策課主席事務官、市川恵一・北米局日米安保条約課主席事務官が参加。国会議員の参加は5名ほどでした。

 

 既に8月10日の対話集会以前に、「政党に対するアンケート調査」を行い、各政党から@CTBT(包括的核実験禁止条約)、Aミサイル防衛問題、B北東アジア非核地帯についてどう考えるか回答を得ていました。(資料参照 「核兵器廃絶市民連絡会による政党へのアンケート調査結果」2001年7月27日)

 

 外務省交渉で分かってきたことは、防衛政策の重要な部分がアメリカの意向を受けた外務官僚によって決定されるということが強く意識されたことです。典型的な例としてCTBT(包括的核実験禁止条約)の問題があります。各政党へのアンケートで、「アメリカの対応にかかわらず、2000年の国連核軍縮日本決議案で示したCTBTの2003年発効をめざすのか」聞いたところ、自由党だけが「早期発効」と期限を明記しなかったが、それ以外は、与党3党をはじめ全政党が2003年発効を支持すると回答しました。

 

 8月10日の対話集会では、アメリカがブッシュ政権になってからCTBTの死文化をめざし、署名はしたが批准はしないということに対し、外務省がどういう対応をするのかが注目されました。

 岡村・軍備管理軍縮課長は、アメリカの政権が変わったから「期限を切った場合にはアメリカがついてこない可能性がある。アメリカが乗ってこないバスを動かしてどうするんだという議論がでてくる」と。与党3党が2003年発効を支持しているのに、政党は知らないからというわけです。

そこで、日本が決議案を出す直前の10月16日に、首相と外相宛に要請書を出しました。ところが日本が決議案から「2003年」という文言を落としたため新アジェンダ連合が「棄権」、「早期発効をめざす」という文言が入っていたためアメリカが反対しました。アメリカが受け入れない決議案は出せないとやった結果、アメリカに反対されてしまったのです。

 

 9.11事件がなければ、政治的にも働きかけができ、国会での議論になれば、「2003年」は入ったのではないかと思うと、悔しいですが、いくらかは外交情報公開を進めることができたかと思います。また、官僚、政治家に働きかけることによってどういうプロセスで日本の政治が動くのか、ちょっと見えるようになったかと思います。

 


核兵器廃絶市民連絡会 例会のご案内

日時:2002年2月26日(火)  午後7時から9時

場所:日本民主法律家協会

新宿区四谷1−2 伊藤ビル3階  電話:03-5367-5430

お問い合わせは、内藤雅義弁護士まで

  電話:03-5283-7799  Fax:03-5283-7791