●=●=●IALANA拡大理事会 2001年8月4日●=●=●

於:広島弁護士会館 10:00−11:30

●はじめに●
ピーター・ワイス・IALANA会長

私たちは何年にもわたり懸命にそして緊密に日本の同僚の方々と仕事をしてまいりました。
JALANA(日本反核法律家協会)はIALANAの中でも大変重要な位置を占めていますし、我々の共同作業に大きな貢献をしてくださっています。悪いグローバル化の例は多々ありますが、これは非常に良いグローバル化の一例ではないかと思います。

 まず、今日の議題を確認し、榊原会長のご挨拶をいただきます。
1 IALANA各支部からの報告
2 アボリション2000の発表
3 被団協から、同会が進めたいと考えているプロジェクトの紹介
4 広島アピールの草案の議論と採択
5 IALANAの行動計画の検討(時間があれば)。


●榊原・日本反核法律家協会会長挨拶●

 7月31日−8月2日まで、日本反核法律家協会主催、早稲田大学共催のハーグ平和記念早稲田国際会議が無事終了いたしました。各国からお越しくださった法学者、法律家の皆様のお陰でありまして、主催者として心からお礼を申し上げます。
本日はピーター・ワイスIALANA会長の座長の元に理事会が開かれることになりましたが、盛んな中、平和裏にそしてスムーズにこの会議が終了することをお願いまして、ご挨拶に代えさせていただきます。


●IALANA本部の報告●
ピーター・ワイス


 私たちは皆、早稲田会議の興奮がまだ冷めない情況です。浦田先生のもとで会議が行われ、出席者は知的に刺激される思いでしたし、有意義であったと思います。行動をしようという良い刺激になったと思います。

-オランダのIALANA本部-
 オランダはIALANAとHAPの2つの事務局をしています。ビーセン・IALANA事務局長は仕事上の理由からこの度日本に伺うことはできませんでした。私共の専務理事のベレニス・ボーマンは病気ですが、近く復帰することを願っています。
1 IALANAオフィスはICJである行動を取るための準備をしています。学者、アムステルダム大学法学部の学生、教授、ICJと共に、果たして核兵器保有国が勧告的意見のF項を遵守しているかどうかを検討して欲しいと思っています。そして、核兵器廃絶に向けて動き出せないかということでアピールを出そうとしていますが、まだドラフトの段階です。
2 HAPのフォローアップということでは、ずいぶん多くの活動をしています。人道法違反によって被害を受けた人たちが訴えられる国際機関は現在ありません。つくって欲しいということで、現在IALANAのスタッフがプロジェクトを進めようとしています。IALANA事務局はこのテーマの条約のドラフトを作り、いま、顧問委員会を結集しています。南アフリカの最高裁判事(元旧ユーゴ戦争犯罪法廷の判事)もメンバーに加わっています。


●●各支部からの報告●●

●ノルウェーの報告●
スティル・エスケランド氏(オスロー大学の公法・国際法教授)


 ノルウェーはNATOの一員ですから、核保有国、特にアメリカの言うことを聞ける立場にあると思います。しかし、残念ながらどうもノルウェー政府の核兵器に対する発言はないように思います。ノルウェーは非核保有国ですが、先制攻撃反対表明もないと思います。世論調査では国民の過半数は核兵器に反対していますが、積極的な反対意見もあまり聞かれません。法律家の間でもほとんどないに等しい状態です。
 我々はIALANAの中でも小さな支部です。今回参加した理由は、ノルウェーの人々、特に法律家に、ここでの政治的、法律的活動について何か持ち帰りたいと思ったからです。そして、共通の闘いに対してもっと積極的になりたいと思っています。

●ドイツの報告●
フーバート・グローテ(元判事、法学博士)

 ドイツ支部の同僚ピーター・ベッカーからよろしくとのことです。私たちの活動は、
1 NPTが世界とヨーロッパに与える影響に関し、外務省はじめ政治家にアピールをしています。
 NATO戦略、特に域外防衛には非常に商業的な利害が絡んでいるのではないかと思っています。これは非常にアグレッシヴな行動を伴うので、是非世論を高めたいと思っています。
 核兵器はドイツでは違法となっています。核兵器に抗議し禁止されている地域に入る人たちを守る活動をしています。
 軍を辞める人たちを守る活動。コソヴォの場合、軍隊の行動について特に法的な後ろ盾がないと考えている人たちもいます。
5 ドイツの科学者たちの連合とともに、内部告発者を支援しています。狂牛病のESEスキャンダルで内部告発を行いそのために仕事を失った女性などの支援を行っています。
6 劣化ウランについての知識を広めようとしています。国防省は劣化ウランの影響で亡くなった人がいるにもかかわらず、影響はないとしています。
7 NATOの空爆によって損害を受けたユーゴスラヴィア人たちの訴訟も扱っています。空爆に協力したドイツ政府が訴訟の対象となっています。
8 人々の意識を高める運動もしています。国際刑事裁判所の必要性、どのような形で手続きをしていくか、どのような形で裁いていくかもまとめていこうとしています。ドイツが国際司法裁判所に無条件に従うことが重要であると考えていますが、いまもってそれは行われていません。


ピーター・ワイズ: 最後におっしゃったことは、日本で行われている憲法9条の議論に関わっていることなのでしょうか?

グローテ: いいえ、それとは独立して行われています。ドイツの憲法には、「私たちはICJに無条件に従うつもりだ」というくだりがあります。そうするべきなんですが、まだそこまで至っていません。

ピーター: ドイツのIALANAもドイツ軍の使用は自衛のためだけに限定するつもりですか?

グローテ: そうです。それは第2点にかかわることなのですが、NATOの一員として私たちはある戦略を作っています。aggression(侵略/先に攻撃する)に対してですが、憲法では軍隊の行動として禁止されています。

ピーター: 日本の法律家で憲法9条を維持したいと考えている人々はドイツの同僚と話し合いをするのが良いのではないでしょうか。


●カナダの報告●
デヴィッド・ライト(弁護士


 私が所属する社会的責任のための法曹団(Lawyers for Social Responsibility)は小さな団体で、リゾース面でも優れてはおりませんが、改革を求める組織です。私たちの活動は
 報告書を議会の委員会に提出することに限定されるところがありますが、それにより究極的な安全保障が国際法を遵守することにあるという概念を示そうとしています。カナダは国際法の権限と実効性を高めようとしています。そしていつも意識して、法律の文言に従うだけはなくその精神に従うということを強調しています。
2 ノルウェーの同僚が言ったように、残念ながらカナダにも一貫性のない立場が見られます。
最近外務大臣が生物兵器についてカナダの立場を表明し、アメリカがこれに従わないと表明したことを非難しました。それはNMDに対する初めての明らかな非難という形になりました。
ですから他の国もカナダの外務大臣の立場を支えてくださるようにお願いいたします。と言ってもこの立場がいつまで続くか、私は疑問視しています。私たちの組織は間接的にこれに関わり、他の組織と協力しています。
3 私たちはモデル核兵器条約への支持を呼び掛ける運動もしています。
4 私は実験場の土地収容に関わる訴訟に関わっております。文書の提出は全て終わりもう裁判に臨める態勢になっていますが、それを扱う判事が見つかりません。アメリカの海軍が(ほとんどが原子力潜水艦です)使っている土地で、核兵器もカナダ領土に持ち込んでいると思われます。借地を拒否したためカナダ政府がこの土地を収用するに至りました。私たちは裁判所に対して申し立てをし、このような収容は政府の権限を越えている、何故なら人々の意思に反した行動だからだと主張しています。そして、民主主義とは何なのかを問いかけています。けれども裁判所がこれについて扱ってくれるかどうかはわかりません。是非、法律関係のジャーナルに目を光らせていてください。最初の判断は来年初め頃に出るのではないかと予想していますが、その後は最高裁まで行くのではないかと考えています。


●オランダの報告●
マインデルト・ステリング(弁護士)

 オランダのIALANAのメンバーは、IALANA本部事務局の活動にもかかわっています。その他に関わっている仕事はやはり訴訟関係です。私たちの活動は、
 92年には核兵器の使用に関する訴訟をオランダ政府に対して起こし、この10月に予想される最高裁の判断を待っているところです。
2 私たちは抗議デモをする人たちの弁護や、核施設、空軍施設に入り込んだために訴えられた人々の弁護の戦略を立てています。
3 私は以前空軍の大佐でしたので、新たな形でオランダの国防省を相手に核兵器関連の訴訟に関わっています。 NATOによる旧ユーゴ空爆に関わる訴訟もあります。空爆は犯罪であるとし、これに関わっている大臣を対象にして訴えを起こし、空爆差し止めを求めました。また、NATOの空爆の犠牲者に対する補償を求める訴訟も行っています。私たちは他の平和組織とも協力して活動しています。

●アメリカの報告●
ジョン・バローズ(核政策法律家委員会専務理事)


 核政策法律家委員会は国連に非常に近いところで活動していますから、国連に対しある意味でIALANAを代表していると言えます。私たちの活動は、
1 2000年秋には中堅国家のイニシャティブとも協力し、新アジェンダ連合の新アジェンダを支持しました。新アジェンダとは2000年のNPT再検討会議を受けて出された決議です。この決議は多くの国の支持を得ました。つまりNPTに参加を呼びかけたのですが、インド、パ
キスタン、イスラエルは反対しました。
2 私たちはICJの勧告的意見のフォローアップとして出された決議をも支持しました。ICJ勧告的意見が軍縮義務に関して述べたことを強調するパラグラフに反対したのは米・ロ・仏・イスラエルの4ヶ国だけでした。
私たちは新アジェンダや軍縮に関する決議やモデル核兵器条約を支持し、支持活動をしてきました。また、カバッソウさんが代表している米合衆国西部諸州法律基金とも協力しています。
3 プエルトリコ、ミシガン、その他の場所での訴訟にも関わっています、特にアナベル・ドワイヤーさんが。
4 抗議運動のデーター・ベースは、ほとんど完成し、IALANAのホームページでこの秋ぐらいから使える予定です。
 ロー・スクールを訪問し、核軍縮に関しもっとクラスで話すように国際法学者を説得することは、割にうまく行きました。来年も続けたいと思っている活動の一つです。


●ニュージーランドの報告●
アラン・ウェア (核政策法律家委員会コンサルタント)

 ニュージーランドのIALANAは創立1年ほどの新しい団体です。活動は、
 ICC(国際刑事裁判所)の批准プロセス、またその準備委員会のプロセスに関わってきました。ニュージーランドで批准会議が行われ、「ICCのための連合」と協力して太平洋・アジア諸国を招待し批准のための会議を開催しました。フランスが「ICCは核兵器とは関係ない」という宣言を出しましたが、それに反対する宣言を出すよう各国に働きかけました。また、侵略行為の定義に関しても、作業を続けています。
 国連が各地で開く軍縮会議にも賛成しています。
3 生物・化学兵器禁止条約、地雷禁止条約に批准していない国に批准を働きかけています。
 緑の党、環境派の政党とも協力し、我々の港湾から核兵器を追放する運動に関わっています。核兵器と言うとき核物質も含めています。ニュージーランド政府は充分に強い法的枠組みがないと考えています。
ウィラマントリー判事に国会で一度証言をしていただき、いまそのフォローアップをやっています。「13日間」というキューバ危機の映画を見るよう奨励しています。
5 新アジェンダ連合にニュージーランドも関わっており、NPTの2000年の再検討会議に私も代表団の一人として行きました。中堅国家イニシャティヴのフォローアップ、つまりどうやって実施していくか、続けて行くかの協議がニューヨークで行われました。
6 ロースクールで話しをする活動もしています。ドイツでも来年の春頃に同様の活動をするそうです。

ピーター:  映画「13日間」は日本で上映されたでしょうか? 情報が非常に豊富な映画です。世界が核戦争の瀬戸際まできた時の情況をよく示しており、いつでも世界がこんな瀬戸際に導かれることがあり得るのだということがわかります。
 アランはNPT再検討会議のニュージーランドの正式の代表の一員でしたし、カナダのジェニファー・サイモンさんは反核兵器の活動家ですが、個人としてカナダの正式の代表団の一員でした。各国の正式の代表団に入るということは、まさに我々の市民社会と政府の協力関係を示していると思われます。日本の代表団にも近い将来JALANAの会長が入ってくださるといいなと思っています。


イギリスの報告
●ピーター・ワイス●

フィル・シャイナー弁護士が今いらっしゃらないようなので、私から報告します。
イギリスでは反核団体や反核活動家を助けるための訴訟事件が非常に多く起こっています。例えば「トライデント・プラウシェア」の運動、特にトライデント原潜搭載核爆弾の違法性、犯罪性を示すための非暴力の抗議運動です。これに関して面白い判例がでています。我々にと
っては良くない判例ですが、いくつかは希望の持てる判例になっています。
 アンジー・ゼルターさんら3人の活動家の非暴力直接行動に対する裁判がスコットランドのグリーノックスで行なわれ、その法廷闘争は大変なものでした。この裁判官は他の裁判官と違って、非常に真面目に国際法を検討し議論してくれました。イギリスの核兵器政策にも議論が及び、審理は3週間にもわたり、陪審員によって無罪を言い渡されました。スコットランドの手続き法で無罪判決が下ると控訴ができないという手続きがあります。スコットランドの高等裁判所は、このような問題は裁判所で議論する内容ではないに近いことを述べましたので、その意味では、無罪判決ではあっても、勧告的意見にとってよくないと思いました。
この事件の被告の1人であったアンジー・ゼルターさんにも本日来ていただきたかったのですが、別の活動があるとのことで来日されませんでした。彼女は今、ピースライトという新しい活動を行っていて、この活動もIALANAと協力しています。この団体も様々な法廷闘争を行い核兵器の違法性を示そうと努力しています。


●日本反核法律家協会の報告●
浦田賢治(IALANA副会長)


 皆さんのおかげを持ちまして早稲田での会議を成功裏に終わらせることができ、感謝致します。お金を集めてくださり、海外から大勢の大変重要な報告者を招くことができたと思っています。
 日本反核法律家協会は2つの原理・原則を達成するために発足しました。核兵器の廃絶と被爆者の活動を支援し協力するということです。そしてIALANA理事会で採択された政策を遵守しようとしておりますし、ICJの勧告的意見を松谷裁判などに生かそうと努力しています。日本反核法律家協会がいろいろな働きかけをしても、日本の裁判所、最高裁は判決にICJの勧告的意見を十分に反映しておりません。しかし、我々は引き続きいくつかの裁判において懸命にICJの勧告的意見を活用しようとしております。
 重要な活動家をご紹介したいと思います。日本反核法律家協会の副会長であり「反核法律家」の編集長である池田真規先生。事務局長でありハーグアジェンダのフォローアップとしてつくったHAP−JAPANで活躍してくださっている大久保賢一先生。我々はある日本の雑誌から「ハーグアピールの10の基本原則」は公式な文書ではないと批判を受けました。大久保さんからお話があると思います(*この問題は本誌の資料の項を参照)。日本の外務省が突然NGOと協力を始めました。NGOの担当の内藤雅義先生からお話があると思います。「非暴力平和隊日本グループ」を発足させる活動には君島東彦先生が関わっておられます。最後に、被爆者の新しい計画について、被爆者を代表し小西悟先生、または田中さんからお話があると思います。


●市民と外務省との対話について● 
内藤雅義


 ICJの勧告的意見で各国は核軍縮を貫徹する義務があるとされました。そうした中で被爆国である日本は特別な任務を負っているのだと思いますが、遂行していないというのが実状です。
 日本では核政策を含む外交、安全保障政策がどこで決められているのがはっきりしていません。憲法上は政策の最終決定権は内閣総理大臣によって組織された内閣にあるとされていますが、多くの場合、官僚機構が政策決定の実権を握っており、核政策についても同様であると考えます。従って、核政策を変更させるには、官僚が技術的な言葉を使うわけですが、そこに隠された真意を把握して、その問題点を国民と政治家に明らかにすることが重要だ、そうしてはじめて国民と政治家の議論になりうると考えています。
核政策に関して市民が外務省と交渉なり議論の機会を持つようになったのは、1998年5月のインドとパキスタンの核実験の後です。当時世界的には新アジェンダ連合が形成されていましたが、日本では小渕首相が「東京フォーラム」の結成をよびかけ、そこで議論がされることになりました。市民団体は「東京フォーラム」に対して政策提言を行うシンポジウムを開催し、外務省の軍縮担当者が出席したのが継続的な対話の始まりになりました。シンポジウムを主催した市民団体は毎年核兵器をめぐる日本、新アジェンダ連合、マレーシアなどの決議案についての外務省の意見、あるいはNPT再検討会議に向けての政府の対応についての交渉や対話を進めてきました。その市民連絡会の中心部分を法律家が担ったという経過があります。
 意見交換した一番最初に、被爆国日本は新アジェンダ連合に加わるべきだと政府に要請しましたが、政府は、@新アジェンダ連合は核兵器に対して対立的、対決的アプローチを取っているが、日本は対話によるアプローチを取っている点で違う、A日本の安全がアメリカの核抑止力に依存しているにもかかわらずこれに反する政策、つまり先制不使用を含む核兵器禁止政策は取れないと言っていました。その後、交渉や対話を進める中で、外務省は核兵器を通常兵器と同様の安全保障の重要なツールだと考えていること、核軍縮交渉に非核兵器国が参加するこ
とに消極的であること、検証措置を伴わない限り非核地帯には消極的である、すなわち核兵器廃絶を求める市民感覚とは非常に違いがあることが明らかになりました。ところが、日本政府によって対立的だとされた新アジェンダ連合諸国の努力により、昨年のNPT再検討会議では、
核兵器廃絶の明確な約束が合意されたわけです。
この結果、これまで国連総会に究極的核兵器廃絶を求める決議を出してきた日本政府は、核兵器完全廃棄への道程を提案して、NPT再検討会議で合意された項目のいくつか、すなわちCTBTとかFMCTなど、については、新アジェンダ連合諸国より具体的な提案をしていると自慢をするまでになりました。しかし、核兵器の使用は違法であるという前提に立って核兵器を廃絶するという立場ではありません。
 今年は、8月10日に国会議員会館で、核軍縮に関する市民と外務省の対話集会を開催します。ブッシュ政権の登場という新たな事態の中で、今年は
@CTBT
Aミサイル防衛問題、
B北東アジアの非核地帯の問題をテーマに議論したい。
その準備過程で、3つのテーマについて与党3党、野党4党に政党アンケートを実施しました。アンケート結果は、@昨年の日本の決議案で示された2003年発効をめざすという方針に与党を含むほとんどの政党が賛成しています。一方で、ブッシュ政権のCTBTの批准を求めない姿勢がある中で、外務省は今年も昨年同様の決議案が出せるのかどうか注目されるところです。Aミサイル防衛問題では野党の内2党が研究そのものに反対し、民主党は計画そのものに疑問を呈する立場から慎重に扱うという意見でした。しかし、与党は何れもアメリカが進めていることは自由であるとしています。B北東アジアの非核地帯については与党にも賛成する党がある。野党はほとんど賛成しているので、政権の構成が変わると北東アジアの非核地帯に積極的な政府になる可能性があります。
こうした点を含めて、8月10日には専門家と国会議員を交えて核政策に関する政府と外務省の真意を明らかにして、広く国民に情報公開する中で、核兵器廃絶に向けた自分たちの運命を核保有国に委ねないことをめざしていきたいと思っています。


●被団協(日本原水爆被害者団体協議会)●
小西 悟

 私自身の被爆体験は「1945年8月6日」という報告があります。お配りした3種類の文書は、@核保有国の大統領、首相宛のお願いで、代表団を送るので直接被爆者に会って話しを聞いて欲しい、核兵器廃絶の明確な約束を実行して欲しいという手紙、A平和のために闘ってくださっている方への被爆者の海外派遣運動についての支援のお願い、B2005年までに市民の国際法廷の開催についてです。これはまだアイデアの段階ですので、皆様のアイデアをお聞きしたい。
やろうじゃないかということになりましたら、国際的に著名な方々のご協力のもとに準備に入らせていただこうかなという、まだドラフトの段階です。(*Bの改訂版を、本誌資料の項に掲載)


ピーター・ワイス
 感動的な訴えをありがとうございます。世界各地の皆さんがこの声明文の根底に流れる痛み・苦しみを理解できたと思います。是非とも皆さんと協力的な対話を進めていきたい、そしてこのプロジェクトを進めていただきたいと思います。裁判所そのものについてはここでは支持表明はできないと思います。これについて話し合って欲しいというアピールだと理解しました。話し合う、この可能性を追求するということで皆さんのご賛同を得られればと思っています。それに留めるということでよろしいでしょうか。

ジャッキー・カバッソウ
 この提案は、非常に緊急の問題であるということを表していると思います。被爆者の方々はかなりお年を召していらっしゃるということで、世界の各国にこのアピールを是非受け取って欲しい、自分たちが亡くなる前に是非核兵器をなくすよう努力して欲しいというアピールであると思います。ですからこれをもっと具体化しようという試みだと思います。会議が終わった後でもっと具体的なことについて話し合っていきたいと思います。

大久保賢一
 昨日皆さんにお渡しした「IALANA2001年広島宣言案」を正式な宣言にしていただきたいというお願いです。この最後にいま議論されている被爆者が予定している世界法廷に我々は取り組むという文言も含められています。こちらにおられる韓国の弁護士さんはアメリカ政府を相手に韓国の被爆者が訴訟する準備をしています。
*「宣言」は討議の末いくつかの修正が加えられ、全会一致で採択されました。
後日、IALANA本部から正式な文書が出されることになっています。(編集部)

バローズ
 韓国の被曝者がアメリカで実際に裁判をすることについては、1部のアメリカの団体、特にここにいるアメリカの方々からの支持を得ています。ただ勝てるかどうかということは、法的に分析しない限り何も申し上げられません。分析はしていませんが、今現在私の感触として、よくて難しいだろうということです。

ピーター
 今の2点、我々としても真剣に検討したいが、2つ目の点は難しいだろう。難しいといっても勝てることもありますから可能性はゼロではありません。これに関して、またメールなどで話し合いを続けていきたいと思います。
 いま、ネパールのゴパルさんがいらっしゃいました。ゴパルさんはネパールでIALANA支部をつくると約束してくださいました。


●アボリション2000(核廃絶2000)●
ジャッキー・カバッソウ

 アボリション2000はこの一年活発に活動し、活動会員を2050、95ヶ国に拡大しました。
第3番目に大きなNGOネットワークになったのです。
 最初の宣言文の「2000年までに核廃絶条約をつくる」から「すぐに交渉する」という内容に変えました。これは非常に大きな相談のプロセスを通して行われたものです。昨年秋の長崎会議で頂点を迎え、5年間ごとの戦略の見直しが行われ、NPT再検討会議でも私たちは活躍し、核廃絶に向けた1300万もの署名を会議議長に提出しました。
今では、私たちはNPTから他の方向に向かっていくべきではないか、G8あるいはその他の場でも訴えを起こして行くべきではないかと考えています。もちろんNPT絡みで続ける人々もおりますが。
この5月、イギリスで開いたグローバル・カウンシルの会議には29人が10ヶ国から集まり、アボリション2000の第1段階は成功裏に終わった、廃絶の考えを議題に乗せ、モデル核兵器条約を作るに至ったことが話され、更に活動して行くべきだと、今後の活動方針が採択さ私たちは核廃絶に向けて更に交渉を進めていく、そして核禁止条約に向けて話しを開始することを第一の目的にしました。そして、3つのアイデアも出てきました。アボリション2000のグループはアナン国連事務総長が提言している核兵器の危険について話し合いを設けるべきだということ、2002年のICJ勧告的意見の記念日の7月8日に世界的な会議を開催し、各国の首都を訪問しようということ。そして「宣言」を採択しました。これは新たな安全保障の枠組みをつくるということ、国際法に沿った形でそれを行おうというものです。そしてすぐに核廃絶、ミサイル禁止などの話し合いを始めようということになりました。
www.abolition2000.orgのサイトに年間の報告書が載っていますので、是非ご覧になってください。


IALANA拡大理事会  11:30終了 

この後 シンポジウム 13:30から開催
レセプション  18:00から開催