過去の活動

 1.1997年度定期総会報告

1997年 定期総会の報告

 

8月4日、広島弁護士会館にて開催

 

 当協会の定期総会は、8月4日午後4時より、広島弁護士会館の大会議室で開かれました。当協会の副会長佐々木猛也弁護士(広島)の司会で進行。

 


 まず、松井会長が、開会の挨拶として、核兵器をめぐる世界の情勢、核保有国が核兵器に固執する根本的な原因、核兵器廃絶条約締結を求める運動の重要性に言及しました。

 

 続いて池田事務局長が、過去一年間の活動報告及び今後の運動方針の提案を行い、これに基づき質疑、討論がなされました。

 

 討論の中心は、今後の核兵器廃絶条約の締結を求める運動において、法律家として条約案の研究、学習、宣伝活動が重要な仕事であり、そのために米国のIALANA加盟団体である核政策法律家委員会が中心となって作成し、4月に発表された「モデル核兵器条約案」を早急に翻訳、出版することが重要であるということをが確認されました。

 

 また、組織問題としては、各地で協会の組織づくりの必要、組織がなくても複数の会員がいる他県内の会員より副会長を選任してもらう必要が確認されました。

 

 この後、総会では、別掲の活動報告並びに活動方針が承認されました。続いて財政報告並びに予算案が提案され、討議の上、当協会の活動の基礎となる財政状況は会員(現在328名)拡大(最低目標500名)の達成が不可欠であることを確認の上、承認されました。

 

 続いて役員の改選に移り、現役員である会長・副会長・事務局長に、組織の拡大と財政の安定を目標として更に一年間重任してもらうことを決定しました。

 

 最後に、別掲のアピールを修正の上採択しました。このアピールは、閉会後、直ちに佐々木副会長よりマスコミに対しファックスで送付されました。

 

 閉会の挨拶は、大阪から参加された坂井尚美会員に、大阪での活動の紹介もあわせて述べていただき、今後の活動を誓って閉会となりました。

 

 閉会後、広島市内の中華料理店で懇親会を開きました。佐々木副会長より、弁護士会での平和推進委員会の活動にも触れて、協会の先進的な活動を紹介してもらい、その後議論に花が咲き、懇親を深めました。

                  池田真規

 

 

 

 


 

当 協 会 の 九 七 年 総 会

 

過去一年間の活動報告

今後一年間の運動方針

 

1997年8月4日開催の定期総会で承認


 


 

T 国際情勢

 この1〜2年の世界の反核運動

 の新しい傾向

 

 

1  核軍縮から核廃絶へと進んだ

   世界の反核運動の背景   

 

 95年4月、核保有国の強引な外交工作によりNPT条約が無期限延長された。多くの非同盟諸国側がこれを受け入れたのは、核大国が核軍縮交渉の誠実な履行を約束したからであった。ところが、延長が決まるや、待ちかねたようにフランスと中国の核実験が始まった。核保有国は核兵器の開発の意図はあっても、核軍縮の意思が全くないことがこれではっきりした。

 これは非同盟諸国をはじめ世界の世論からみれば核大国の完全な裏切りであった。世界の世論は核実験反対で盛り上がった。

 同じ頃、当協会も全力を上げて取組んできた世界法廷運動が実って、世界法廷(国際司法裁判所)は95年10月末から11月15日まで「核兵器の使用と威嚇の違法性について」の公開審理を開い

 

た。これには、全世界の政府が核兵器に

ついての意見の陳述の機会を与えられた。WHOと22ケ国の政府代表が意見陳述を行い、このうち15ケ国の政府代表が核兵器の使用と威嚇は国際法に違反すると陳述した。

 そして翌96年7月8日、世界法廷は、核兵器の使用と威嚇は一般的に違法との勧告的意見を言渡し、国連総会に送付した。これは核兵器廃絶運動にとって重要な意味のある事件であった。

 

 2 世界法廷の勧告的意見(96   年7月)の評価      

 

 勧告的意見の法廷意見は、核兵器の使用と威嚇は一般的に違法(E項前段)としたが、国家の存亡の危機における自衛の極限状況での使用についての法的判断は回避し(E項後段)、その上で核軍縮交渉を誠実に遂行し完結させる義務があるとした(F項)。

 これに対する評価は賛否両論が生じたが、核兵器の使用の適否をめぐる議論が高まったことは核兵器廃絶運動にとって好ましいことであった。

 そしてそのなかで評価や意見の違いを乗り越えて、勧告的意見のF項で示した各国政府の誠実な核軍縮交渉を完結させる義務については異論の余地はなく、この実行を迫る運動へ世界の世論が動き出し始めたのである。これは極めて注目すべき事態である。

 

 3 国際世論の流れ−核軍縮から   核兵器廃絶へ移りはじめる 

 

1 大きな動き

   NPT条約が無期限延長となった9 5年4月、NGO「核廃絶2000年」 がニュ−ヨ−クで設立声明を発表し、 西暦2000年までに核兵器廃絶を呼 びかけた。これはインタ−ネットを利 用した新しい世界的核兵器廃絶ネット ワ−ク運動である。

  また95年から96年へかけての世 界法廷運動における非同盟諸国と核保 有国との核対決の高まりは、東南アジ ア非核地帯条約締結となって現れ、引 き続いてアフリカ非核地帯条約締結に 波及し、非核地帯は地球の南半球をほ ぼ覆うに至った。

 

★2 個々の事件と勧告的意見の影響

  96年7月の世界法廷の勧告的意見 を受けてさまざまな動きが始まった。

     翌8月には非同盟21ケ国グル−プ は国連軍縮会議に核廃絶行動計画を提 案、同月オ−ストラリア政府の設立に かかるキャンベラ委員会は報告書を発 表し、勧告的意見を注目し国連軍縮会 議に核兵器廃絶交渉を要請、9月には パグウオッシュ会議は核兵器条約実現 の行動計画提案、同月国連総会は包括 的核実験禁止条約を採択(賛成158、反 対3、棄権5。)、11月にはカナダ政府 が同国の「米国の核兵器に国防を依存 する核政策」の見直しの検討を開始、 12月には世界17ケ国62名の元将 軍・提督が核兵器廃絶声明を発表、同 月10日第51回国連総会は、マレ− シアの提案した「勧告的意見を歓迎し 多国間の核廃絶交渉の開始を要請する」 決議を採択した。

    今年に入り、米国内において、米国 医師会(30万人)、内科医師会(10万人)、 米国公衆衛生協会( 5万人) 核兵器廃 絶運動を支持を表明、婦人国際平和自 由連盟は核兵器ゼロ要求運動を開始し た。また3月には、カナダ議会は政府 の核政策見直しのための公聴会を開催、 同月東南アジア非核地帯条約は9ケ国 が批准し発効した。

    NPT再検討会議のための準備会議 第1会期の始まる4月7日、米国の核 政策法律家委員会グル−プは各国の政 策立案者のための核兵器廃絶条約案を 発表、また同月、化学兵器禁止条約に 81ケ国が批准し発効した。これは核 兵器禁止条約の締結に希望を与えるも のであった。そして同月第12回非同 盟諸国外相会議は核兵器廃絶軍縮会議 を呼びかけた。

    これらの一連の事件を見ると、意識 するとしないとにかかわらず、世界法 廷の勧告的意見、とくにF項の核軍縮 交渉完結義務の宣言がその背景となっ ていることが読み取れる。この意味で 勧告的意見は、核兵器廃絶運動に有効 な役割を果たすものと期待することが できると言えよう。

    今後予定されている98年4月のN PT再検討会議のための準備会議第二 会期、99年4月のNPT再検討会議 のための準備会議第3会期、それに毎 年秋の国連総会、非同盟諸国が99年 開催を目指す第4回国連軍縮特別総会、 同じく99年に予定されるハ−グ平和 宮での第1回ハ−グ平和会議百周年記 念平和会議などにおいて、核兵器廃絶 条約を2000年までに締結という目 標に向けてさまざまな国際的な活動が 展開されることになろう。

 

  4 世界の反核運動を核兵器廃絶   運動に切り開いた要因   

     

 このような世界の核兵器に反対する運動が展開しはじめた背景には、従来の世界における長い反核運動の下地があり、特に日本の被爆者運動や原水爆禁止運動の一貫した核兵器廃絶運動の実績があった。それに加えてIALANA,IPPNW,IPB、などの国際組織の共同した世界法廷運動、「核廃絶2000年」ネットワ−ク運動の国際的な展開、そして日本の市民の核兵器廃絶運動の実績もあった。

  それと同時に重要な要因は、米・英・仏の核大国による世界の核実験場と化した太平洋諸島の非同盟諸国政府が、深刻な実験被害に基き核兵器禁止の意思を公然と表明し、結束して世界法廷で核兵器を裁く活動に参加し、これに共鳴した多数の非同盟諸国が世界法廷において核兵器の違法性を主張し、有利な勧告的意見を引き出すに至ったことである。

 これからの国連の内部における核兵器廃絶条約締結運動の成功は、この非同盟諸国が重要な役割を果たすことになる。これを実現するには世界の核兵器廃絶の世論を結集して支援し、核保有国を世論で追いつめることが必要である。

 

 

 

 

U 国内情勢

 2000年までに核兵器廃絶条  約を締結せよ、という運動の本  格化

 

 

 1 核兵器廃絶モデル条約案

   (従来発表された条約案の経   過を含む)

 

  核兵器を廃絶する具体的方法は、世界の政府が核兵器廃絶条約に調印し実行することである。そのために、核兵器廃絶モデル条約案が従来いくつか発表されてきた。

  古くは76年8月の田畑、宮崎、平野、松井、藤田等の学者7名による核兵器使用禁止国際条約案、78年5月の日本弁護士連合会による核兵器使用禁止条約案(これは国連事務総長に提出)、82年6月の国際平和ビュ−ロ−(IPB)による核兵器の使用又は使用の威嚇の違法性に関する国際条約案(これは第2回国連軍縮特別総会に提出)、82年7月の第2回国連軍縮特別総会最終報告書第一部序文付属文書−核兵器の使用禁止に関する条約案、93年8月の松井康浩による核兵器全廃条約要綱(原水爆禁止世界大会で発表)、そして97年4月7日、核政策に関する法律家委員会(米国)グル−プによる核兵器条約案(国連内で発表)である。これは約100頁にわたる詳細なものであり、政策立案者の討議のための叩き台として作成された。

 

 2 国内世論の盛り上がり   

 

 世論形成の方法として署名を広めることが広く行われ、その数がバロメ−タ−とされる。ヒロシマ・ナガサキからのアピ−ル署名は、85年以来10年余続けられ5500万名に達し、世界法廷運動を支持する公的良心の署名は95年5月から約6ケ月で330万名の署名を集めた。97年6月現在非核宣言をした地方自治体は2218自治体(自治体総数の3分の2以上)、核兵器廃絶条約締結促進意見書を採択した自治体は1220自治体に達した。高知港は神戸方式による非核港となった。

 

 3 核兵器のない世界を創る国際   運動での日本の核兵器廃絶運   動の特別な役割      

     

 日本の反核運動は従来世界の反核運動をリ−ドしてきた。次にその特長を挙げる。

1 広島・長崎の原爆体験がその原点で あること。その原点に基づき、第一は 核兵器の廃絶であり、第二は国家補償 の精神に基づく被爆者援護法の制定で ある。

2 ビキニ水爆実験の被害第五福竜丸事 件が、全国民的な原水爆禁止運動にし たこと、これが国際運動に発展したこ と。

3 運動が継続的・組織的・国民的運動 であること。毎年8月6日、9日の慰 霊祭へ全国から参加者が参列し、首相 の参加を慣例化させたこと。

 

  日本の反核運動は、原爆被害の実態 を世界に広める重要な役割がある。

 

 

 

 

 

V 協会の活動の報告

 

 

 

 1 学習会・講演会などへの講師   の派遣          

 

 勧告的意見が発表されて本年7月まで1年間に当協会、会員、理事らの各地での講演会・学習会の講師活動の全貌は協会本部では正確には把握できていない。本部で把握しただけでも、40回は下だらない回数が行われている。主催団体で多いのは、日本生活協同組合と日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)である。テ−マは主に「勧告的意見の学習」と「2000年核兵器廃絶を目指して」である。

 

 2 世界法廷日本センタ−三団体   と日本生活協同組合連合会の   政府・政党への共同要請  

     

 世界法廷運動を共同して進めた4団体は、96年7月に「勧告的意見の報告集会」を開催、9月には外務省を訪問し「日本政府は核兵器は違法との見解を発表し、国連総会で勧告的意見を支持するマレ−シアの決議案を支持し、核兵器廃絶条約の実現に努力する」ことを要請し、11月には、同様の要請を再度行い、また、各政党を訪問し、外務省に申入れた要請の実現の協力を求めた。

 

 3 協会の呼びかけによる核兵器   条約案検討委員会     

 米国のIALANA加盟組織である核政策に関する法律家委員会グル−プ作成の核兵器条約草案について、当協会が専門家(国際法・核物理学・憲法など)に呼びかけて検討委員会を設置、検討を加えて修正意見書を本年3月、米国へ送付した。

 

 4 パンフレット       

 

 日本生協連からの要請で、パンフレット「2000年をめざして、地球から核兵器をなくそう」の作成に当協会は全面的に原稿の起案に協力、初刷1万部を本年6月20日発行した。早速、学習活動に利用され始めている。

 

 

 

W 協会の組織問題

 

 

 

 1 新たな支部の設立     

 

 前年の長崎総会で、長崎県反核法律家協会の設立が実現した以後、新たな地域協会の設立は実現していない。しかし、埼玉県、神奈川県がそれぞれ独立の協会を設立する話は前向きに検討してもらっている。特に埼玉県が可能性が高い。

 

  2 各委員会の設立と活動   

 

 かねてから重要な課題として提起されているが、殆ど前進がない。

 

 3 事務局体制の確立と活動  

 

   かねてから重要な課題として提起されているが、殆ど前進がない。

 

 

 

X 協会の財政問題

 

 

 

 かねてから重要な課題として提起されているが、殆ど前進がない。

  協会の財政は、総会の提出する財政報告のとおりであり、協会の年間活動費を会員の会費収入では、到底賄うことは出来ない状況にある。これの打開は会員を最低500名にしなければならないが、現在はまだ400名に到達していない。

会員拡大が急務である。

 

 

 

Y 協会の運動方針

 

 

 

  長期の目標・展望  】    

 

 1995年から1996年へかけて、NPT無期限延長、世界法廷運動などを契機として、世界の反核運動が従来の核兵器凍結・核兵器実験反対から核兵器廃絶・核兵器廃絶条約締結運動へと流れが変わり、「西暦2000年までに廃絶条約を」という具体的な目標をかかげた運動となってきた。

 この状況を作り出した様々な要因の中の重要な要因が世界法廷運動であった。世界法廷の勧告的意見は、国連総会のマレ−シア決議案、キャンベラ委員会の声明、カナダ外務大臣の核政策の見直し指示などにも引用され、国際的な認識になりつつある。

 世界法廷運動は次の課題として、核兵器条約案を作成して4月7日にニュ−ヨ−クで発表し、国連や各国の政策立案者、専門家、学者など提供して、条約締結の客観的条件の醸成を形成する活動を開始した。

  我々はこれに協力しながら、被爆国日本の独自の運動である原水爆禁止運動の長い伝統と広島・長崎の原爆体験の国民的な共有を基礎にして、世界の核兵器廃絶運動と歩調を合わせながら、「世界法廷の勧告的意見F項で義務付けられた」核軍縮交渉の完結を目指し、少なくとも西暦2000年までに核兵器の被害の実態の普及と核兵器廃絶の世論の動員による、全世界の国による核兵器廃絶条約締結の実現に取り組まなければならない状況にある。

  この長期目標の達成を目指して、当協会は次のとおり当面の運動に取組む。

 

  当面の運動の目標  】    

 

1 [非核政府に変える運動]

  目標:政府見解を「核兵器の使用と威嚇は違法」に変える。

   活動方法:被団協・生協連・国法協その他の市民運動と連携した活動による。

     これらの活動の連絡事務局を設ける。

 1、国会議員に対する働きかけ。

   目的 国際司法裁判所の勧告的意見の紹介と解説をし、国会の場で「政府の見解を変更させること」に協力を求め      る。

      対象 自民党・社民党・民主党・新進党・共産党の衆・参議員

      東京の場合:外務委員・予算委員。

         地方の場合:当該地方出身議員。

   方法 会談を持ち、当協会・被団協・生協連側が説明の上、討議する。

 

 2、政党に対する働きかけ。

      自民党・社民党・民主党・新進党・共産党の政策担当者と懇談

      対象  東京の場合:政党本部。地方の場合:当該地方の政党支部。

 

  3、外務省とその支持者(学者・評論家ら)に対する働きかけ。

        公開討論会、円卓会議、誌上討論会(新聞・雑誌など)。

 

  4、首相・外務省などへの要望乃至抗議

 5、地方自治体に対する働きかけ。

    イ、地方自治体の議会・首長に「核兵器廃絶条約の締結要請」の表明を求める。

        非核宣言をした自治体及び未宣言の自治体にも呼びかける運動。

    ロ、港湾を持つ地方自治体は、神戸方式・高知方式を求める住民運動を呼びかける。

   

2 [世論の動員]

  被団協・生協連などと連携した活動−全国各地で独自の運動を組織。

 運動の内容:

  1、原爆被害の実相を広める運動:被団協の計画する全国巡回原爆展に合流

 2、原爆展と合流して、または独自に, 勧告的意見の学習運動

 3、原爆展と合流して、または独自に、核兵器廃絶条約の学習運動

 4、学習用の新しいパンフレットを作成して学習に利用する。

 5、世論の動員に役立つ訴訟提起の検討−目的は核兵器の使用と威嚇の違法の宣伝

  運動の方法:被団協・生協連・国法協 ・その他の市民団体と共催、協力など による、原爆展、学習会、講演会、シ ンポジウム、模擬裁判、演劇など。

  講師:被爆者、反核法協・国法協の学 者・弁護士、生協の組合員・役員など。

 

3 [若手の研究者に対する継続的  な研究と活動の呼びかけ]−将来の人材育成

   反核法協の「核兵器廃絶の総合的研究 委員会」(仮称)として発足し育成する。

 目的:地球から核兵器をなくすための 総合的研究

 1、核兵器の実験・使用の結果、人間と社会に与える被害

  2、核兵器の実験・使用の結果、地球の環境・衛生に及ぼす被害

  3、核兵器廃絶に至るまでの政治的・技術的・法律的手順・運動方法の研究

 対象:大学在学生、大学院生、研究者

  対象学部:法学部、政経学部、工学部 医学部、農学部など。

  顧問・講師・助言者:反核法協・国法 協の学者・弁護士が担当

 

4 [講師担当者]:反核法協・国  法協の担当する学者・弁護士の  問題

 1、講師に必要な学習資料を準備:これを読めば講師ができるというものを作成。

 2、講師担当者を全会員に「何をして協力してもらえるか」をアンケ−トをとる。

      その希望に従い講師を依頼する。

      アンケ−ト例:貴方が協力できること−学習会の講師、資金カンパ、資料提供・・

 

5 [資料の作成]

   学習会の講師用の資料を作成する。  例えば、勧告的意見の全文、核兵器条 約案全文、主要な国際条約、非政府組 織の発表した重要文書、学習会の講演 録(井上正信など)

 

6 [当協会のリ−フレットの作成]

 反核法協を紹介するリ−フレットを作成する。

 

7 [会員の拡大]

  1、学者会員、弁護士会員、司法書士会員、税理士会員の拡大を進める。

  2、法律家以外の賛助会員の拡大を進める。

  3、拡大の方法:理事または有志が、目標を決めて個別的に勧誘する方法で進める。

 

8 [組織体制]

  1、個別の各種委員会の体制を必要に応じて確立する。

    イ、地域毎の支部協会をつくる−広島、大阪、京都、埼玉、千葉、神奈川、

    ロ、各種委員会の設置

        組織財政委員会

        機関紙編集発行委員会

        講師養成・講師用資料作成委員会

    核兵器廃絶の総合的研究委員会の設立準備委員会

        その他

  2、理事会を充実させる。このためには、上記のような当協会の具体的活動の意義と必要性を知らせ、自発性を呼びかける。

  3、その上で、自薦・他薦・事務局の依頼にて、担当・役割を決める。

  4、事務局会議と理事会を充実させる。

 

9[財政]:協会の活動のために多額の資金を必要とする。

  財源は、次のことが考えられる。

 

 1、小田成光、工藤勇二の両監事のご努力をお願いする。

  2、会員の拡大:「7、会員の拡大」を参照

  3、「核兵器廃絶を実現する特別基金」制度設立。

      会員、特に理事は、特別の高額・少額を問わず継続的に一般的寄付を求める努力をする。この基金の募集は核兵器廃絶の目的実現まで継続し、運営委員会を設け、核兵器廃絶運動に重要な支出についての規則を定めて有効に利用する。

     

                     

                              


西暦2000年までに
核兵器廃絶条約締結を求めるアピール 


  1996年7月8日、国際司法裁判所は、核兵器の威嚇又は使用は国際法違反か否かを問う国連総会の諮問に対し、「核兵器の威嚇又は使用は、武力紛争において適用可能な国際法の原則、特に人道法の原則及びル−ルに一般的に反する」との判断を示した。その上で国際司法裁判所は、国家には「厳正で効果的な国際管理の下に、あらゆる側面での核軍縮へと至る交渉を、誠実に遂行し完結させる義務がある」と述べている。

 

  この画期的な国際司法裁判所の勧告的意見を受けて、核廃絶に向けた具体的な行動が世界各地で取り組まれている。

 1996年8月8日には、非同盟28カ国が、2020年までに核兵器を廃絶するという「核兵器廃絶のための行動計画」を国連軍縮委員会に提出した。同月14日には、オ−ストラリア政府が時間的制限を設けず段階的に核兵器を削減するという「核兵器廃絶のためのキャンベラ委員会」の報告書を国連に提出した。同年9月8日には会議が、時間的制限を設けない核廃絶のプログラムを内容とする評議会声明を発表した。そして本年4月7日には、法律家や科学者で構成する核政策法律家委員会は、5段階15年で核兵器廃絶が完了するという「モデル核兵器条約」を発表した。国連でも、1996年9月10日に包括的核実験禁止条約(CTBT)が採択され、同年12月10日には時間的制限を設けた核軍縮交渉を1997年に開始することを求める決議が採択された。

 このように、国際社会では、核廃絶の機は熟しつつあり、達成可能な目標となりつつある。

 

 今こそ、被爆国である日本の政府と国民は、核廃絶に向けた国際貢献が求められている。にもかかわらず、日本政府は従前の姿勢を改めず、アメリカの核の傘の下で平和が保たれているなどというカビの生えた核抑止論に拘泥し、昨年12月の国連総会では前述の核廃絶決議に棄権した。こうした日本政府の姿勢は、核廃絶に向けた世界の動きに水をさすとともに、核廃絶を願う国民の期待を裏切るものである。

 我々は日本政府に対し、こうした姿勢を改め核廃絶に向けて具体的な行動をとることを求めるものである。同時に国民

各位に対しても核廃絶へ向けた大きなうねりを、日本で、さらに世界で作り出す

行動への参加、具体的には西暦2000年までに核廃絶条約締結交渉の妥結を求める運動への参加を呼びかけるものである。

 

  そのために、

1、原爆被害の実相をさらに広める運動

2、国際司法裁判所の勧告的意見を学び、  広める運動

3、核兵器廃絶条約案を学び、広める運  動

4、核兵器廃絶の世論を高める運動

5、日本政府を非核の政府にする運動

  を旺盛に展開しよう。

 

 今こそ核兵器廃絶の具体的なプログラムを立て実行する時である。平和な日本、平和な世界を後世に残すために、多くの人々の英知と力を結集しよう。

 

 

1997年8月4日

 

核兵器の廃絶をめざす日本法律家協会

第4回定期総会   広島にて