(注1)藤田久一編『軍縮条約・資料集』(初版)有信堂高文社、1988年、385〜386頁。この草案は、前文および全7条からなる簡潔なもので、核兵器の使用を禁止の対象としている(1条)。この条約案は、核兵器の使用が国連憲章や国際法の原則・規則に違反するだけでなく、人類に対する犯罪であると規定する点で、1961年に採択された国連総会の核兵器使用禁止決議の内容を踏襲している。核兵器による威嚇については、条約加盟国がこれを許さないために協力する義務を規定するにとどまる(2条)。また、核兵器の廃棄や検証に関する規定もなく、「核兵器の使用、実験、製造、貯蔵を禁止する国際条約」を予定しているものの、それ以上の言及はしていない(3条)。
(注2)藤田久一、前掲書、386〜387頁。これは、前文および全13条からなる。まず、核兵器の使用が違法であり犯罪であることを規定する(1条)。つぎに、核兵器の使用についても禁止している(2条)。また、非核保有国への核兵器持込を禁止し非核兵器保有国に配備した核兵器の撤去を規定する(3条)。この点に、非核三原則の影響がみられる。さらに、核兵器・運搬手段の廃棄に着手することも規定する(5条)。ただし、それ以上の詳細な規定は設けられていない。ついで、個人の処罰についても規定し、核兵器を使用した者等についてその地位に関わらず処罰することを締約国に義務付けている(6条)。条約実施機関についても規定しており、核兵器管理機構の設置規定を設けている(9条)。この機構は、条約違反の提訴を審理し、違反の有無を調査する権限が付与されているが、後に見られるような査察手続への言及はない。
(注3)浦田賢治編『モデル核兵器条約 反核法律家別冊1』日本反核法律家協会、1997年所収。
(注4)浦田賢治編『モデル核兵器条約』(反核法律家別冊T)日本反核法律家協会発行、1997年参照。
(注5)浦田賢治編訳『地球の生き残り〔解説〕モデル核兵器条約』日本評論社、2008年。
(注6)藤田久一・浅田正彦編『軍縮条約・資料集〔第3版〕』有信堂、2009年、394〜399頁参照。
(注7)NPT無期限延長決定後の1995年の長崎の平和宣言では、「核保有国が直ちに核実験全面禁止条約を締結し、核兵器廃絶に向けタイムスケジュールを設定し、具体的交渉をはじめるよう求めます」としている。
(注8)たとえば以下の質問がある。1994年5月31日の衆院予算委員会における核兵器全面禁止国際協定についての佐々木陸海議員による質問、同年6月8日衆院予算委員会における核兵器全面禁止協定についての松本善明議員による質問、同年8月24日の参院決算委員会における核兵器使用禁止条約についての浜四津敏子議員による質問、同年10月27日の参院外務委員会における核兵器全面禁止条約についての山下栄一議員による質問。
(注9)たとえば以下を参照。1995年1月25日の参院本会議における期限を切った核廃絶実現に関する立木洋議員の質問、1996年12月月2日衆院本会議における核兵器禁止条約に関する鳩山由紀夫議員の質問、同年12月12日の参院 外務委員会におけるマレーシア決議に関する田英夫議員の質問、1997年4月22日および5月16日の衆院外務委員会におけるマレーシア決議に関する松本善明議員の質問、同年6月5日の参院外務委員会における期限を切った核兵器廃絶の国連総会決議に関する立木洋議員の質問、同年11月26日の衆院外務委員会におけるマレーシア決議に関する秋葉忠利議員の質問、同年11月27日の参院外務委員会におけるマレーシア決議に関する田英夫議員の質問、同年11月28日の衆院外務委員会における時間的枠組みと核廃絶との関係に関する丸谷佳織議員の質問、1998年5月14日の参院外交・防衛委員会におけるマレーシア決議および核兵器条約(NWC)に関する竹村泰子議員の質問、同年5月19日の参院外交・防衛委員会におけるマレーシア決議、モデル核兵器条約および期限つき核廃絶に関する田英夫議員の質問、同年6月1日の衆院外務委員会における核兵器廃絶協定締結交渉開始に関する松本善明議員の質問、同年6月17日のマレーシア決議に関する高野博師議員の質問および核兵器全面禁止条約に関する栗原君子議員の質問、同年8月11日の衆院本会議における期限を切った核廃絶に関する不破哲三議員の質問、同年8月12日の参院本会議における核兵器全面禁止条約に関する浜四津敏子議員の質問、同年9月9日の衆院外務委員会における核兵器全面禁止条約に関する松本善明議員の質問、同年9月24日の衆院本会議における期限を区切った核兵器廃絶交渉開始に関する佐々木憲昭議員の質問、1999年年6月2日の衆院外務委員会におけるマレーシア決議および核兵器廃絶条約に関する松本善明議員の質問、同年6月4日の衆院外務委員会-における期限を切った核兵器廃絶とマレーシア決議に関する古堅実吉議員の質問、2000年8月1日の参院本会議における期限を切った核兵器廃絶・使用禁止に関する山下芳生議員の質問。
(注10)「衆議院議員山田敏雅君提出『核兵器廃絶条約』に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質一五四第四五号平成十四年四月二十三日)参照。http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/154045.htm
(注11)1998年6月11日の参院外交・防衛委員会。なお、明石元事務次長は、「我が国を含む世界じゅうのこういう問題に絶大な関心のある人たちが一緒になって、実現可能なしかも究極的な核廃絶という方向に向かって邁進していくためのプログラムを一緒につくってみるということが先決」であるとも指摘している。
(注12)1999年6月2日の衆院外務委員会での、阿部信泰・外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官による説明。
(注13)1996年12月月2日の衆院本会議において鳩山由紀夫議員はこう主張している。「私は、包括的核実験禁止条約の早期発効とカットオフ条約交渉の早期開始など、現実的なステップを積み上げていくことも重要ではありますが、何時に、日本が核兵器の使用と威嚇が国際法に違反することを明確にした上で核兵器禁止条約の締結を呼びかけるならば、核廃絶に向けた国際世論の喚起に極めて大きな影響を与えることになると考えます。」
(注14)たとえば、2008年11月12日の衆院外務委員会における笠井亮議員と中曽根外務大臣との質疑応答。
(注15)長崎アピールは以下を参照。Available in English at http://www.ngo-nagasaki.org/appeal_e.pdf
(注16)黒澤満「現在の国際環境と核軍縮」財団法人日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター『核軍縮を巡る新たな動向』(平成20年度外務省委託研究)41〜42頁。
(注17)ICNNDについては以下を参照。http://www.icnnd.org/
(注18)日本連絡会の活動については、以下を参照。http://icnndngojapan.wordpress.com/
(注19)『朝日新聞』2009年12月19日付、および『毎日新聞』2009年12月16日付参照。
(注20)「参議院議員浜田昌良君提出米国の核態勢見直しに対する我が国の対応に関する質問に対する答弁書」(内閣参質一七四第一号平成二十二年一月二十六日)。http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/174/meisai/m174001.htm |