この分科会の問題意識は、先の「構想」で示したとおり「核兵器も原発も、核エネルギーを利用するものであり、核エネルギーを制御できない限り、人類社会に壊滅的影響をもたらすことになるので、両者を統一的に考える必要がある」というものであった。
ところで、核による被害は現実に発生している。端的には、核兵器使用の被害であり、原発事故による被害である。けれど、被害はそれだけにとどまらない。核兵器製造過程や核実験による被害、ウランの採集から精錬、原発の稼働や事故による被害なとどして表れている。そして、その被害は、人類が放射線に対して対応力を持っていないことによる被害という特徴と、核の性質を知りながら、被害の発生を防止しなないだけではなく、発生を隠蔽し、過小評価し、十分に救済も補償しないという無責任な国家や企業による被害という二つの側面を持っている。そういう意味で、核被害とは複合的である。
そこで、当分科会では、原爆被害の実相を知っているはずの日本で、なぜ、原発が導入され、事故が起きたにもかかわらず、しかも、その収束が確認されていないにもかかわらず、再稼働が行われようとしているか、その政策を推進する論理と現状を原子力情報資料室の松久保肇事務局長に基調講演をお願いする。
更に、以下のような企画を考えている。
日本ではあまり知られていない被害と国際法の最先端とを学ぶ機会にしたい。人間と核との関係を具体的に考える一つの機会にしたい。