2023年11月11日
日本反核法律家協会総会
山田 寿則
はじめに
2010年NPT再検討会議最終文書から核軍縮に係る行動
*行動3:保有核兵器の完全廃棄を達成するとの核兵器国による明確な約束の履行において、核兵器国は、一方的、二国間、地域的、また多国間の措置を通じ、配備・非配備を含むあらゆる種類の核兵器を削減し、究極的に廃棄するため、いっそうの努力を行うことを誓約する。
*行動4:ロシア連邦及びアメリカ合衆国は、戦略兵器削減条約の早期発効ならびに完全履行を追求することを誓約する。両国は、保有核兵器のいっそうの削減を達成するための爾後の措置について議論を継続するよう奨励される。
*行動5:核兵器国は、国際の安定と平和や、減じられることなく強化された安全を促進する形で、2000年NPT再検討会議の最終文書に盛り込まれた核軍縮につながる措置について、確固たる前進を加速させることを誓約する。この実現に向け、核兵器国はとりわけ以下をめざし速やかに取り組むことが求められる。
A. 行動3で確認されたように、あらゆる種類の核兵器の世界的備蓄の総体的削減に速やかに向かう。
B. 全面的な核軍縮プロセスの不可欠な一部として、種類や場所を問わずあらゆる核兵器の問題に対処する。
C. あらゆる軍事及び安全保障上の概念、ドクトリン、政策における核兵器の役割と重要性をいっそう低減させる。
D. 核兵器の使用を防止し、究極的にその廃棄につながり、核戦争の危険を低下させ、核兵器の不拡散と軍縮に貢献しうる政策を検討する。
E. 国際の安定と安全を促進するような形で、核兵器システムの作戦態勢をいっそう緩和することに対する非核兵器国の正統な関心を考慮する。
F. 核兵器の偶発的使用の危険性を低下させる。
G. 透明性をいっそう高め、相互の信頼を向上させる。
核兵器国は、上記の履行状況について、2014年の準備委員会に報告するよう求められる。2015年の再検討会議は、第6条の完全履行に向けた次なる措置を検討する。
*行動6:すべての加盟国は、ジュネーブ軍縮会議が、合意された包括的かつバランスのとれた作業計画の文脈において核軍縮を扱う下部機関を、即時に設置すべきであることに合意する。
出典:レクナ
https://www.recna.nagasaki-u.ac.jp/recna/database/importantdocument/un/no1/2-1
Ⅰ. NPTにおける各国の主張
A. N5の主張(クラスター1での発言から)
米国
ロシア
中国
英国
フランス
B. 日本
C. 他の主な国家グループ
非同盟運動(NAM)諸国
新アジェンダ連合(NAC)
核兵器禁止条約(TPNW)諸国
アフリカグループ
アラブグループ
EU
ストックホルムアプローチ諸国
NPDI、など
Ⅱ. 注目される争点
Ⅲ. 2023年国連総会第1委員会
A. TPNW関連決議の状況
採択年 | TPNW決議 | 人道決議 | 倫理決議 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2015年 | 139-29-17* | 144-18-22 | 132-36-16 | 2015年NPT後。*人道の誓約決議 |
2016年 | 113-35-13** (123-38-16) |
144-16-24 | 130-37-15 | **TPNW交渉開始決議。( )は第1委員会の結果 |
2017年 | 125-39-14 | 141-15-27 | 130-36-15 | TPNW成立後 TPNW採択は122-1-1 |
2018年 | 126-41-16 | 142-15-26 | 136-36-14 | |
2019年 | 123-41-16 | 144-13-28 | 135-37-13 | |
2020年 | 130-42-14 | 146-13-29 | 134-37-14 | |
2021年 | 128-42-16 | 148-12-29 | 135-37-14 | TPNW発効後 |
2022年 | 119-44-13 (124-43-14) |
138-14-31 | 131-38-11 | ( )は第1委員会の結果 |
2023年 | 124-43-14 | 136-13-33 | 131-39-11 | 第1委員会の結果 |
B. TPNW決議の投票状況の内訳
Ⅳ. TPNWの2MSPの注目点
A. 暫定アジェンダ(抜粋)
8. ハイレベルセッション:国連事務総長による演説と高官による演説。
9. 核兵器の人道上の影響に関するテーマ別討論。
10. 一般討論。
11. 条約の地位と運用、および条約の趣旨及び目的を達成するために重要なその他の事項の検討:
a. 核兵器の所有、保有または管理に関する申告(第 2 条)。
b. 普遍性 (第12条);
c. 核兵器廃絶に向けて(第4条)。
d. 被害者援助、環境修復並びに国際協力及び援助(第 6 条および第 7 条)。
e. 国内的実施措置(第 5 条)。
f. 条約の趣旨と目的を達成するために重要なその他の事項:
i.条約の効果的な実施のための科学的および技術的アドバイス。
ii.実施のための会期間の構造。
iii.既存の核軍縮・不拡散体制との条約の補完性。
iv.条約のジェンダー規定の実施。
13. 第3回締約国会合の準備:
a.議長の選出。
b.日程と会場。
15. 会議の最終文書の検討と採択。
おわりに
参考文献・情報源