2011年8月6日、当協会会員も刊行委員会に加わった本書が日本評論社より出版されました。全国各地で提訴された集団訴訟を通じて広島・長崎の被爆者が原爆症認定を勝ちとるまでの過程が、資料とともに克明に記録されています(DVD「原爆症認定集団訴訟の記録 にんげんをかえせ」付)。この集団訴訟には、多くの当協会会員も代理人となり、厚生労働大臣の決定を覆すという画期的な成果を生み出しました。
本書については、大江健三郎さんが次のような推薦の言葉を寄せてくださっています。
「隅ずみまで明快な 偉大な本」
「二十世紀に人間のたどりついた、究極の決意は何だったか、といま福島原発事故の大きい放射能汚染のなかで、あらためて確認します。「ふたたび被爆者をつくらせない。」
この大きい本は「証言集」「資料集」ともに文章の明確さできわだっていますが、原爆症認定集団訴訟までの苦しみにみちた経験と裁判そのものが(原告の次つぎの死)、訴訟の原理的正しさともども被爆者たちにこの表現をあたえたのです。弁護人、各界からの専門家の文章にも共有されて、本書を比類のない(しかも読みやすい)偉大な本とします。
私は危機を超えての「希望」を見ました。」
本書は、東日本大震災・福島原発事故の発生前から企画されていたものですが、奇しくも原発事故を考えるうえでも重要な示唆を与えるものとなりました。放射線内部被ばくが人体に与える影響について、政府の否定的主張にもかかわらず、裁判所はその主張を斥けたという経緯は、今後の原発問題へのとりくみの参考になることでしょう。
多くの方々に読んでいただきたい一書です。