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機関誌・出版物
反核・平和のエッセイ37編――あるいは疾走する後期高齢者
東京造形大学名誉教授
前田 朗
大久保賢一『「核の時代」と戦争を終わらせるために――「人影の石」を恐れる父から娘への伝言』(学習の友社)

第1部 「核兵器も戦争もない世界」を求めて(17話)
第2部 核兵器に依存し戦争を計画する者たちへの批判(11話)
第3部 何人かの知識人たちへの共感と注文(9話)

 日本反核法律家協会会長、日弁連憲法問題対策本部核兵器廃絶PT座長、NPO法人ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会理事、核兵器廃絶日本NGO連絡会共同代表を務める大久保弁護士の新刊である。
 つい先般、『「核兵器も戦争もない世界」を創る提案』(学習の友社)、及び『「核の時代」と憲法9条』(日本評論社)を出したと思ったら、またまた本書である。読むのが追いつかない速筆だ。スピード違反の疑いがある。
 なにしろ、大久保は諸団体のニュース・通信・会報などに次々と論文や声明やエッセイを書き、それでも足りないとばかりに書き綴ったエッセイをEメールで友人知人に続々と送り付ける。そのなかから厳選されたエッセイを著書としてまとめていく。
 前著は比較的理論的で専門的な記述が多かったのに対して、本書は「娘への伝言」とあるように一般の読者向けに平易な文章で語りかけている。

 第1部と第2部は平易な言葉使いで、核のない時代への願い、思いを綴る。
 第1部では、反核平和の短歌や俳句、沖縄全戦没者追悼式における平和の詩、あるいはスリーベテランズたちの語り、青年・学生たちの取り組みを紹介しながら、核のない時代を創るための条件づくりを整備する。
 第2部では防衛大綱の欺瞞、NPT再検討会議の延期、バイデン米政権の政策などを取り上げて批判的に論評する。岸田文雄著『核兵器のない世界へ――勇気ある平和国家の志』が、その表題に反して、核兵器恒久化を意味する倒錯本となっていることを厳しく批判する。
 第3部はやや理論的な文章が収められている。坂田雅裕、長谷部恭男、伊勢崎賢治、加藤典洋、日本軍縮学会声明、藤原帰一、鳩山友紀夫、ウィリアム・ペリーの見解に学びつつ、論点を深める努力を続ける。
 1冊で3度おいしい本である。

 第1の特徴は批判する前に相手に学ぶ姿勢である。聞きたいことだけを聞きながら「聞く力」を自慢する首相と違って、大久保は相手の主張に耳を傾け、賛同できるところと賛同できないところを区分けしつつ、議論を発展させる工夫を重ねる。
 第2の特徴は視野の広さである。反核平和という問題領域だけに、当然のことながら、核兵器禁止条約やNPT会議のように国連レベルの動き、米中、米朝などの軍事外交交渉、沖縄の基地反対闘争や広島の核廃絶運動はもとより、ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会の活動など多様で多彩な観点から現実に向き合う。
 第3の特徴は若さである。1947年生まれ、団塊の世代にしてついに後期高齢者の仲間入りをした大久保だが、勉強意欲が旺盛で、次々と関連書籍を読み漁り、そこに論敵を見つけ出す。ストレートに批判する前に相手に学び、共有できる認識を確認しながらも、相手を乗り越える課題を自らに課す。反核平和の願いという原点を絶対に譲らない「頑なさ」も、頑迷なのではなく、柔軟にして常に発展を模索する姿勢を忘れない。先達に学び、同世代と侃々諤々の激論を闘わせてきた大久保が、いま、自らの「若さ」を最大の武器に、一世代二世代後の若者たちの活動にも学びながら疾走する様は、感動的ですらある。若者たちはこの爺さんをどう見ているのだろうか、ちょっと知りたいところでは、ある。

※本人の許可を得てブログより転載
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