11月11日、日本反核法律家協会は、「朝鮮半島の非核化のために」と題する意見交換会を主催した。韓国の弁護士の崔鳳泰(チェボンテ)氏、朝鮮大学校教員の高演義氏、在日3世の弁護士金竜介氏、明治大学(国際法)の山田寿則氏、立命館大学(平和学)の山根和代氏をパネリストとしての討論がメインである。
核兵器禁止条約が採択され、「核兵器のない世界」に向けて、画期的な一歩が踏み出されているが、他方では、米国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の対立が激化し、朝鮮半島での核兵器の使用も含む武力衝突が懸念されている状況の中で、私たちが何をなすべきかを探求しようという試みであった。
ここで紹介したいのは、朝鮮半島での武力衝突が起きれば、「全てが破滅する」という、崔さんと高さんの一致した意見と、金さんの「日本国内で、朝鮮人に対するジェノサイドが起きる」という懸念の表明である。文韓国大統領と被爆者を当事者とする事案で共同代理をしたことがあるという崔弁護士も、北朝鮮の主張をよく知る高さんも「全ての破滅」を予想しているのである。金さんは、日本人による在日同胞に対する大量虐殺を本気で心配しているのである。
私は、この不安や恐怖を杞憂としてスルーすることはできない。なぜなら、私は「三光作戦」、「原爆投下」、「ベトナム・ソンミ虐殺」、「イラク・ファルージャ虐殺」など戦時における無差別な残虐行為を知っているからである。また、小池都知事が関東大震災時の「朝鮮人虐殺」を無視しようとしていることやヘイトスピーチを目の当たりにしているからである。そして、私は、狂気の集団が在日の人たちを襲撃する事態は起こりうると思うし、起きてしまえば、私にはそれを止める力はないからである。
トランプ米国大統領は、核兵器発射装置の入ったかばんを持ち歩きながら、「北の核」を非難し、日本や韓国に大量の兵器を購入させている。米国の軍事産業の株は上がっているという。安倍首相は「トランプ親子の靴をなめた」などと揶揄されながら、米国の方針を丸呑みしている。「国難」をいいながら、ゴルフ場のバンカーでコケている姿を外国メディアに晒すような人物が、日本国の最高政治権力者なのである。そして、日本の軍事費は毎年増加している。
私たちは、どんなことがあっても、朝鮮半島での武力行使を止めなければならない。それは、私たちが被害者になるかもしれないというだけではなく、再び、加害者になることを意味するからである。私たちは、自分では直接手を下さないとしても、米国の情け容赦のない殺戮と破壊を支えるという形や、偏狭と狂気にからめとられた日本人グループの在日朝鮮人に対する暴虐を阻止できないという形での加害行為に加担することになるのである。
更に問題がある。朝鮮半島での武力行使が起きなかった場合、その理由を北朝鮮が核兵器を持ったからだということにされるかもしれないということである。もし、その論理が普遍性を持つようなことになれば、核兵器は安全保障の切り札ということになってしまうであろう。「核抑止論」が正夢になってしまうことは、絶対に避けなければならない。
そうならないためにどうすればいいか。武力行使を止めるための運動と核兵器をなくすための運動を同時に進めることである。ここでも、憲法9条の非軍事平和主義の完全実施と核兵器廃絶運動の融合が求められている。「核の時代」に生きる私たちに課せられた二つの任務である。