バーゼル会議とその宣言について
日本反核法律家協会 理事
明治大学兼任講師 山田 寿則
はじめに
2017年9月14日から17日までの4日間にわたり、スイスのバーゼル大学において「核時代における人権、将来世代及び犯罪」(Human Rights, Future Generations & Crimes in the Nuclear Age)と題する国際会議(以下、バーゼル会議)が開催された
(※1)。主催したのは核戦争防止国際医師会議のスイス支部(PSR/IPPNWスイス)、スイス核軍縮法律家協会(IALANAのスイス加盟団体)、比較環境法国際センター、ウラニウム・ネットワーク及びバーゼル平和事務所といった国際的に活動する5つのNGOである。参加者は医師と法律家が中心であった。筆者は主催者から招請されスピーカーとして参加した。
会議の狙いと議論の射程
この会議のウエブサイトに拠れば、会議の狙いと議論の射程の要点は、次のようなものである。
●電離放射線による人間とすべての生物に対するリスクは従来理解されているよりも高い。
●この国際会議は、放射線被ばくの医療上の帰結の最新情報を共有し、この関連で法的アプローチを考察する。
●海外スピーカーには、法律家、医師、核兵器専門家、活動家並びに核事故及び核実験被害者を含む。彼らの抱える問題とその解決方法を取り上げる。
●会議は、将来世代の承認と法的保護に道を開くような法の発展の検討が含まれる。
●報告集の刊行が計画されている。(※本稿執筆時点では未定)
さらに敷衍して、この会議主催者は次のような事実認識を示す。即ち、核兵器や原子力産業による人間の健康への壊滅的な影響についての認識の高まりがある。世界中の多くの実験場で行われていたかつての大気圏内核実験は、実験地域に住む先住民に不可逆的な被害をもたらした。核兵器使用および更なる核災害のリスク並びに極めて有害で長期的な放射性廃棄物からは現在及び将来世代へのさらなる脅威が生じている。さらに、ウラン採掘やマヤーク、チェルノブイリ、福島などの原子力事故は、土地と水の広範囲な汚染を引き起こし、依然としてその原因となっている、と。
この事実に対して主催者たちは医師や法律家として、地球の漸進的な「核化」を懸念し、核不拡散条約(NPT)第6条に基づく核軍縮に抵抗して核使用のリスクを高める核兵器国に不満を示し、同時に、原子力産業の在り方にも世代を超える犯罪性を見出している。このように将来世代の権利の視点の導入がこの会議の一つの特徴となっている。
そのうえで、主催者たちは、地政学的緊張と不確実性が増したこの時期に学際的な対話が必要であるとして、これまでの訴訟につき法律家から学ぶ必要と、医学的証拠が訴訟の成否について鍵となることに触れ、近年の医学では放射線のリスクがこれまでよりも高いことが示されていることを指摘する。
このようにこの会議は主に医師と法律家がそれぞれの経験と知見を共有することで将来世代の権利の保護という視点から核兵器と原子力に依存する社会から脱却する方途を議論することを狙いとした。
会議の概要
4日間にわたる会議は、以下示すようにきわめて広汎な問題を扱った。
9月14日には、まず学生等を対象とした「将来世代についての核政策の影響」と題して米英仏の識者による講義が行われ、次いで開催されたメイン・コングレス「彼方の核のホットスポットと犯罪」と題する公開イベントにおいては、モーリッツ・ロイエンベルガー元スイス連邦大統領が講演を行い、マヤークやマーシャル諸島からの参加者が現地の事情を報告した。
翌15日は、午前に「電離放射線/生物への影響/世界のヒバクシャ」と題するセッションにおいて主に医学的見地から放射線の影響が報告され、続く「人類学、人権、将来世代」とのセッションでは、人類学と法律学の観点からの考察が報告された。とくに核兵器の使用について人権法からの制約があることを指摘するD. Rietikerの報告や核兵器の拡散と使用について国際刑事法の観点から論じるG. Kreutzerの報告は注目される。
同日午後の「核実験と非核兵器地帯」と題するセッションではスピーカーのリストにはなかったがスイス外務省当局者が登壇し、会場からは核兵器禁止条約に対する同国の方針などにつき活発な質疑応答が交わされた。その後の「環境権」と題するセッションでは日本の「原発と人権」でも講演したM. Prieur教授が登壇し、核災害において保護されるべき人権につき論じた
(※2)。同日夜には公開イベントとして2017年度の「核のない未来賞」の授賞式が行われ、日本からは梅林宏道氏(ピース・デポ創設者)が授賞した
(※3)。
翌16日午前の「核事故」と題するセッションでは筆者を含む3名が報告した。筆者は「フクシマ原子力事故と国際法の視点からの人権救済」と題して大要以下の報告を行った。まず、国際法一般では原子力災害に関連して人権を保護する規定は少ないことを、国際原子力法、難民法及び国際法委員会の作業を概観することで示し、次いで東日本大震災と福島第一原発事故の被害の概況を紹介したうえで、このようなフクシマの被害への対応につき、日本政府は自らが当事国となっている人権諸条約に基づき各種人権委員会から勧告を受けていることを紹介した。最後に、かかる勧告を国内訴訟に活かすべきことを指摘した。
同日午前の2つ目のセッション「核被害者の支援―法的事例」では、マーシャル諸島、マヤーク、福島、フランス領といった世界各地での核実験被害、核施設事故被害をめぐる訴訟や補償事例が報告された。なかでも、関根未希、中瀬奈都子両弁護士によるフクシマ原子力災害に関する訴訟事例の報告には聴衆から大きな関心が寄せられ、質疑応答のほとんどがこの2人の報告に集中した
(※4)。
同日午後には、ウラン採掘に関する活動事例の報告及びウラン採掘と健康・環境被害に関する2つのセッションが開催された。
最終日(17日)には核廃棄物の処分問題を扱うセッションの後に、「将来世代のための行動」と題する最終パネルが開催され梅林氏を含む5名が核兵器と原発のない世界に向けた構想につきそれぞれの立場から提言を行った。
バーゼル宣言について
この会議においては、最終宣言が採択されている。会議での議論を踏まえて、核兵器、劣化ウラン兵器及び核エネルギーによる国境と世代の双方を超えるリスクと影響は、人権侵害であり、国際人道法・環境法に違反し、将来世代に対する犯罪であることを確認している。これは、ウラン採掘、核エネルギー、核兵器及び劣化ウラン兵器に関してこの会議において確認された事実認識を前提に、核兵器と核エネルギーに適用される法とこれに基づく権利と責任に関するこの会議における理解を踏まえて導かれたものである。そのうえで、この宣言は7つの提案を行っている
(資料参照)。
この宣言には会議参加者の多くが署名した。宣言の内容の細部に至るまで全参加者の合意が得られているものとは必ずしも言えないだろうが、この会議の基調をなす見解、とくに私たちは将来世代に対する責任を負っているのであり、将来世代に甚大なリスクや回復不能な損害をもたらす行為は将来世代に対する犯罪行為であるとの考えは会議参加者の多くに共有されていたと思われる。
このバーゼル宣言の内容が現行法をどの程度反映しており、今後現行法の解釈としてどのように定着していくか、あるいは今後の法の発展をどのように導くかについてさらに注視する必要があろう。
おわりに
バーゼル会議は、テーマとしては核兵器の廃絶から原発の廃止、ウラン採掘被害の救済までと幅広く、参加者も医師や法律家、科学者、核専門家、国際機関の職員、活動家などと多彩かつ学際的であり、かつ世界各地の核被害の現場からの参加も見られるという意味で極めてグローバルな会議であった。そのなかでフクシマの問題は高い注目を集めた。
会議主催者の努力に感謝の意を表するとともに、フクシマの事情とこれに対する取り組みについて英語発信を含め広く国際社会に情報提供する必要を強く感じたことを付記しておきたい。
※1 会議のウエブサイトは以下参照。各スピーカーのプレゼン資料なども閲覧が可能となっている。
https://www.events-swiss-ippnw.org/
※2 同教授による「原発と人権」における講演は、ミシェル・プリウール「国際的に保障されている人権と原子力災害」『法と民主主義』491号(2014年8月)17-22、参照。
※3 篠原翼「『核のない未来賞』授賞式に参加して」『核兵器・核実験モニター』529号5頁以下参照。
※4 両名による報告の詳細は本誌52頁並びに56頁以下参照。
【資料】人権並びに核兵器及び核エネルギーに由来する世代間犯罪に関するバーゼル宣言
2017年9月14日から17日までバーゼルにおいて開催された国際会議「核時代における人権、将来世代及び犯罪」の参加者は、核兵器、劣化ウラン兵器及び核エネルギーによる国境と世代の双方を超えるリスクと影響は、人権侵害、国際人道法・環境法違反及び将来世代に対する犯罪であることを確認する。
私たちは、すべての国々のエネルギー需要は、安全で持続可能で再生可能なエネルギーによって賄い得ること、及びすべての国々の安全保障は核兵器に依存せずに確保できることを確信している。私たちの結論は、以下のことに基づいている。
ウラン採掘に関して
核エネルギーの原料を提供するウラン採掘と濃縮は、長期的に継続し毒性の高い放射性核種を環境中に放出し、被曝する現在及び将来世代の健康に深刻な影響を与える。
また、核燃料チェーン、とりわけウラン濃縮及びプルトニウム再処理は、この技術を有する国々に核兵器を生産する可能性をもたらし、現在及び将来世代に対して更なる脅威を生み出す。
最後に、直近の及び長期的な将来におけるウラン採掘の財政的見通しは、核エネルギーの有用性が現在低減していることを考慮すると、疑わしいものに過ぎないと思われる。したがって、諸政府はウラン探求の停止を真剣に考慮してよい。
核エネルギーに関して
エネルギー生産のための核燃料の生産、規則的使用及び廃棄物管理のチェーンに沿って、そして原子力発電所の事故後は、膨大な量の放射性同位元素が生物圏に放出される。癌及び非癌疾患のような深刻な健康被害が被曝住民にあらわれてきている。とくに、現在及び将来世代の健康は結果としての突然変異の影響を受ける。現代の低線量放射線(LDIR)の研究は閾値なし直線(LNT)仮説を裏付けている。科学的に根拠のある理解では、1ミリシーベルトといった低線量でのリスク推定の受容が必要とされている。ICRPの勧告は発効から10年過ぎた時代遅れのものであり、見直されなければならない。
多くの原子力発電所は、とくに欧州では、高度の人口密集地に所在している。
いずれの核災害も複数国の住民に越境被害を及ぼす効果をもち、このことは国家に対して自らの管轄又は管理の下における活動が他国の環境に損害を与えないことを確保することを求める国際法を侵害するだろう。
2015年の国連仙台宣言〔仙台防災枠組2015-2030〕は、災害リスク創出に対する説明責任があらゆるレベルにおいて必要とされていることを認めている。さらに、あらゆる人権は、人為的なハザード及び科学技術上のリスクを含めいかなる災害事態においても促進・保護される必要がある。
核エネルギー生産と管理(廃棄物貯蔵を含む)の莫大なコストは、再生可能エネルギーと比較すれば、不適切な投資となる。
マヤーク、スリーマイル島、セラフィールド、チェルノブイリ及びフクシマにおけるような核災害は、環境中に大量の放射性核種を放出し、現在及び将来世代の健康に影響を及ぼす。
運用中及び解体後の原子力発電所は、膨大な量の放射性廃棄物を生み出し、数千年間は危険である。すでに知られるどの文明の存続期間よりも長い。放射性廃棄物を何世紀もの間安全に長期貯蔵する問題に、これまでのところ解答は与えられていない。
核兵器に関して
核兵器の使用及び実験は、爆発の周囲にいる人々の健康及び環境に、そして人類全体にも深刻で世代を超えた損害を与えてきた。
核兵器の人道上の影響に関する一連の国際会議で強調された最近の研究では、人口密集地におけるいかなる核兵器の使用も破滅的な人道上及び環境上の帰結をもたらし、いかなる核兵器の複数回の使用も、放射線及び熱線の影響に加えて、気候に壊滅的かつ不可逆的な損害をもたらすだろうことが示された。
私たちは、核抑止は不道徳的で違法であり、かつ安全保障上の価値が疑わしいことを確認する。北東アジアにおけるような現在の紛争や他の緊張に際して、そして核兵器が全廃されるまでには、核兵器が使用されるリスクは高い。この高いリスクにより、核廃絶は至上命題となっている。
核軍備競争への財政的及び人的投資は、人間の、社会的及び環境上の必要から要求される資源を転用するものである。この必要には、教育の促進、基本的で普遍的な保健医療の提供、気候の保全及び持続可能な発展目標の実施が含まれている。
劣化ウラン(DU)兵器に関して
疫学的報告では、劣化ウランの被曝には直接被曝者とその子孫に健康上の影響があることが示されている。
装甲板と貫通発射体にウランを使用することで、劣化ウランが環境中に放出され、劣化ウランは数千年にわたり残留し、戦闘員にも非戦闘員にも等しくリスクをもたらす。
核兵器と核エネルギーに適用可能な国際法に関して
一般国際法に加えて、とくに以下の分野の法が核兵器と核エネルギーには適用され得る。
国際人権法はとりわけ以下の権利を保護する。即ち生命に対する権利、非人道的な又は品位を傷つける取り扱いを受けない権利、最高水準の健康及び健康な環境に対する権利、食料及び水に対する権利を含む相当な生活水準についての権利並びに表現の自由及び情報を求めかつ受ける権利である。さらに、女性、子ども、先住民又は障がい者といったとりわけ脆弱な集団のための特別の文書が採択されかつ締結されてきている。
国際人道法。この法は、文民に無差別な影響を与え、戦闘員に不必要な苦痛をもたらし、中立国領域を侵害し、挑発に対して不均衡であり、又は環境に対して深刻で、長期的若しくは回復不可能な損害を与えるだろう兵器の使用又は戦闘の方法を禁じている。
平和と安全の法。この法は、主に国連憲章を通して表現されており、正当な自衛の場合を除いて、武力による威嚇又は武力の行使を禁止している。
環境及び将来の世代を保護する法。この法は、数多くの条約に表現されており、現在及び将来世代のために持続可能な環境を確保し、これを深刻に脅かすものとして知られている活動を禁止する責任を規定する。また、科学上の調査により妥当なリスクが見出される場合には、公衆が危害に曝されることを予防しかつ防護する法的責任が存在する。
核エネルギーの生産は、上述した核エネルギーの人間の健康及び環境に与える影響のために、人権法並びに環境及び将来世代を保護する国際法に違反する。
核兵器の生産、核兵器による威嚇及び核兵器の使用は、上述の4つの法すべてに違反する。そういうものとして、私たちは、以下の点に同意する。即ち「核兵器の破壊的な影響は時間にも空間にも封じ込めることはできない」という国際司法裁判所による結論と、「核兵器のいかなる使用も武力紛争に適用される国際法の規則、特に国際人道法の原則及び規則に違反するであろう」との核兵器禁止条約による確認とに同意する。さらには、いかなる核使用もエコサイド〔犯罪的な環境・生態系の大規模破壊〕となろう。
前記の法に基づく権利と責任に関して
私たちは、ウラン採掘、核エネルギー及び核兵器によりその健康、福利又はくらしに否定的な影響を受けてきたすべての人々の完全な救済を求める。
私たちは、核兵器禁止条約における被害者の援助及び環境の回復に関する規定を歓迎し、その完全な実施を求める。
私たちは、核兵器・核エネルギー産業及びその所管行政府の人々に対して、核兵器及び核エネルギーの生産の違法性を認め、その活動を停止するよう訴える。
私たちは、2016年7月7日~9日に開催された核兵器と人間文明の破壊に関する国際民衆法廷における以下の結論を歓迎する。即ち、核武装国(及びテスト・ケイスとして同盟諸国の一つ)の指導者たちを戦争犯罪、人道に対する罪、平和に対する罪、将来世代に対する罪並びにエコサイドを構成するだろう行為につき脅迫し、計画し及び準備する罪の廉で(欠席で)有罪とした判決である。エコサイドとは、単一若しくは複数の生態系に深刻な損害若しくは破壊をもたらし、又はグローバル・コモンズ〔地球的共有物としての環境・生態系〕に対して深刻で長期的かつ不可逆な損害をもたらすものと理解されている。
私たちは、諸国の大多数が核エネルギーを生産せず核兵器を保有していない事実を歓迎し、他のすべての国々に対してこれに参加するよう求める。
私たちは、国際再生可能エネルギー機関の設立を歓迎する。同機関は、再生可能エネルギーを開発するために諸国に援助を提供しており、私たちはその2016年報告書「エネルギーの再考:再生可能エネルギーと気候変動」を強調する。同報告書は、2030年までに核エネルギーに依存せずに化石燃料を安全な再生可能エネルギーに完全に代替させる可能性を示したものである。
私たちは、非核兵器国として核不拡散条約に参加している184の国々と、また核兵器による威嚇も核兵器の使用も禁止する核兵器禁止条約に賛成票を投じた122の国々を称賛する。私たちは、すべての国々に対して、核兵器の禁止と全廃に合意し、これを実施する枠組みを2018年国連軍縮ハイレベル会議において採択するよう呼びかける。
私たちは、核エネルギーを利用するすべての国々に対して、核エネルギーの利用を段階的に停止し、再生可能エネルギー源に代替する計画を公表するよう呼びかける。
最後に、27カ国から集った医師、法律家、科学者及び核専門家として、私たちは、核エネルギーと核兵器に関する事実を強調し、人権及び将来世代の権利と調和した、人類と私たちの地球のために安全で、持続可能かつ平和な未来を促進することが私たちの道義的義務であると考える。
私たちは次のように提案する。
1 国際連合のすべての国は、人権、将来世代の権利並びに核エネルギー及び核兵器を段階的に除去する法的要請を促進するものとする。私たちは、スイスが国内においては核エネルギーを段階的に除去するために、グローバルには核兵器を禁止するためにとってきたイニシャチブを支持し、スイスに対して、核エネルギー及び核兵器産業のあらゆる側面を禁止するために国際連合においてさらなる努力を払うよう奨励する。
2 閾値なし直線(LNT)仮説及び集団線量計算は、低線量の電離放射線に被曝した住民集団への健康リスクについての外挿法を許容する。現在の科学に基づく理解では、1ミリシーベルトの低線量でもリスク推定の受容を求めており、したがって、ICRP勧告の見直しが求められる。この勧告は発効後10年を経て時代遅れになっている。
3 電離放射線源による人権侵害は疫学上間違いなく記録されている。これに関して被害者補償のための医療基準が確立されなければならない。関係作業員の権利を侵害したと認められる企業又は人々は、国内の及び国際の裁判所において責任を問われなければならない。何人も情報を求めかつ受ける権利がある。被害者は補償されなければならない。
4 核兵器の使用は、他の核活動から生じる健康及び環境への無差別な損害と並んで、国際刑事裁判所のローマ規程に人道に対する罪として含められるべきである。また、私たちはローマ規程を改正してエコサイドの罪を含めることを求める。
5 核エネルギー/核兵器と人権及び将来世代の権利の侵害との関係につき若者と学生の注意を喚起する必要がある。彼らの権利は危険にさらされており、したがって、現在と将来の彼らの利益が尊重されるよう、彼らは能動的になる必要があり、そのように奨励する必要がある。法学部と医学部は、その対応するカリキュラム一般において、また前記「核燃料チェーン」との関連でのカリキュラムにおいて、人権につき教授することを考慮するよう奨励される。これは将来世代の権利の観点でも同様である。
6 世界保健機関とIAEAとの1959年5月28日の協定は、利害を衝突させ、民生核利用の健康上の帰結についての自由な情報を制限しているのであり、廃棄されなければならない。
7 シンポジウム「核時代における人権、将来世代及び犯罪」の参加者は、これらの要求を共有し、これを他の国々の政策決定者に伝える準備がある。
問い合わせ先
会議のウエブサイト:
https://www.events-swiss-ippnw.org/
スイス核軍縮法律家協会(Association of Swiss Lawyers for Nuclear Disarmament):
https://safna.org/
バーゼル平和事務所:
http://www.baselpeaceoffice.org/
比較環境法国際センター:
https://cidce.org/
PSR/IPPNWスイス:
http://www.ippnw.ch
ウラニウム・ネットワーク:
http://www.uranium-network.org/
初出・機関誌「反核法律家」94号(2018年2月)