要旨
ドイツは、過去数十年間にわたる慣行に則り、ドイツ国内に配備されている米国の核爆弾のための運搬システムを維持し続けている。有事の際には、この核爆弾は、トーネード戦闘機を用いてドイツ連邦軍の兵士により輸送・投下される。このような核共有(ニュークリア・シェアリング)は、北大西洋条約機構(NATO)の戦略概念の一部であって、法的根拠のないままNATO加盟国間で合意されてきたものである。核兵器の使用と使用の威嚇は、国際人道法と国際人権法上の生命に対する権利とにより禁止されている。加えて、核兵器の使用は、非核兵器国であるドイツに対し、核兵器のあらゆる共同処分を禁止する核兵器不拡散条約(NPT)にも違反するものである。いずれにせよ、米国のオハイオ級原子力潜水艦に搭載される低出力のトライデントミサイルが開発されたことにより、ドイツ国内に配備されている戦術核兵器の軍事的重要性は失われてしまっている。
1 核共有とは何か
核共有(ニュークリア・シェアリング)は、北大西洋条約機構(NATO)の戦略概念の枠組み内で参加国により合意されたものである。核共有に関連して、米国の核兵器は、関係国に配備された場合に保管・警備・維持され、また、使用に供されることになる。現在の核共有参加国であるベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコ(※1)は、運搬システムを提供して配備を実施している。ドイツ連邦軍は、46機の核搭載可能な航空機(DCA)の提供をNATOに約束しており、〔ドイツとルクセンブルクとの国境近くにある〕ビューヒェル(Büchel)航空基地の第33戦闘爆撃航空団から44機のトーネード戦闘機が〔DCAとして〕これに当たっている。この任務に従事するドイツ連邦軍の兵士は、核兵器使用の訓練を受けている(※2)。
欧州〔に配備される米国〕の核兵器は、主としてNATOの任務のために用いられるものであり、使用命令もNATOが発出する。この核兵器は、米国大統領が使用を許可し、米軍司令部の特別チャンネルを通じて使用許可コードを受け取った場合にのみ使用が可能である。また、米国は、中東地域を担当する地域最高司令部である米中央軍(CENTCOM)の支援のために、欧州に保管された核兵器を展開する権利も有している(※3)。
ドイツや他のNATO諸国に保管されている米国の核爆弾を使用する場合、各配備国は、自国の航空機を用いた核爆弾の使用に同意しなければならない。一般的に想定されているのは、北大西洋理事会(NAC)が中心的な役割を果たし、全てのNATO諸国との協議が行われた後に、このような配備が決定されるというものである。しかしながら、全ての同盟国との協議は、必須となる前提条件ではない。(※4)
NATOでの使用の場合、ビューヒェル航空基地のドイツ連邦軍の兵士(※5)は、米国大統領の許可が得られた後に、配備された〔自由落下式の〕B61核爆弾を米軍から移譲され、目標地点まで飛行して、これを投下することになる。
2 ドイツの核共有の歴史
米国は、前方戦略(Forward Strategy)の重要な要素として、1953年7月から戦術核兵器(戦術核)をNATOの管理下に置くようになった。この戦術核は、1954年9月に欧州(英国)に最初に到着し、その後、1955年3月から5月にかけて西ドイツ、1957年にイタリア、1959年にトルコ、1960年にオランダとギリシャ、そして最後に、1963年にベルギーへと移送された(※6)。1971年には、NATOは、7300発もの戦術核を欧州に保有しており、その半数ほどが西ドイツに配備されていた。
当時のアデナウアー(Konrad Adenauer)西ドイツ首相は、米軍の核兵器の西ドイツへの配備を明確に承認している(※7)。西ドイツの一般市民は、西ドイツへの移送から2年後の1957年5月15日に米軍が公表するまで、西ドイツ領内に核兵器が存在することを知らされていなかった。そのわずか5日後に、NATOの最高司令官ノースタッド(Lauris Norstad)将軍は、有事の際には、米国の核兵器が西ドイツ連邦軍などの同盟国に引き渡されるという驚くべき発表をした。その直後から、アデナウアーは、核運搬システムの西ドイツ連邦軍への提供に関心を示している(※8)。西ドイツ連邦軍は、それから10年も経たずに大量の核運搬システムを保有するようになり、核兵器は、軍事的な思考を支配するようになった。西ドイツは、スターファイター〔F-104〕戦闘爆撃機の購入時に、通常兵器の提供を抑制したほどである(※9)。
NATOの当初の核戦略であった「大量報復」戦略は、1968年に「柔軟反応」戦略に置き換えられることになった。しかしながら、NATOは、核兵器先制使用の選択肢を明確に維持し続けていた(※10)。
ベルリンの壁崩壊とワルシャワ条約機構の解体に伴う東西対立の終結は、欧州の安全保障環境を劇的に変化させた。1991年から1992年までの間、ブッシュ(George H. W. Bush)米大統領、ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)ソ連大統領、エリツィン(Boris Yeltsin)ロシア大統領の相互に一方的な軍縮の約束により、数千発の戦術核が欧州から撤去された。欧州に備蓄されていた米国の核兵器は、1992年7月までには約700発、1990年代半ばまでには約480発まで減少し、欧州に展開されていた戦術核の近代化計画は次第に停止された(※11)。
1991年に採択された〔1991年版の〕NATOの戦略概念では、紛争時に米国と英国により割り当てられる潜水艦搭載型の戦略核兵器を「同盟国の安全保障の究極の保証」とみなすことを継続した。欧州に配備された準戦略核兵器は、NATOの核戦略上のリスク・役割・任務・責任に欧州諸国が広範に参加することを確保する紐帯として意図されていた。これにより「十分な戦力」が欧州域内に留められた(※12)。
2010年11月19~20日に〔ポルトガル・リスボンで開催されたNAC首脳会合において〕採択された〔2010年版の〕NATOの戦略概念では、核兵器のない世界(a nuclear-weapon-free world)という目標への関与に初めて言及したが、同時に、世界中の全ての核兵器が完全に廃絶されるまでの間の核抑止の原則も再確認された(※13)。
2018年にNATOは、核共有の概念を次のように正当化している。すなわち、「NATOの核抑止態勢は、欧州に前方配備される米国の核兵器並びに関係する同盟国が提供する能力及びインフラに依存している。NATOの核抑止任務のためのDCAの国家的貢献は、この努力の中心であり続けている」(※14)と。
2007年11月に『デア・シュピーゲル』誌は、ラムシュタイン(Ramstein)航空基地に配備されていた130発の核兵器を米軍が撤去し、同基地が配備先リストから外れたと報じた(※15)。それ以来、ドイツがNATOの核共有に貢献するのは、ビューヒェル航空基地に配備されている第33戦闘爆撃航空団のみとなっている。ビューヒェル航空基地には、米軍の警備の下で10発から20発のB61核爆弾が配備されている。ビューヒェル航空基地の大規模改修のため、2022年6月から2026年2月まで、ネルフェニッヒ(Nörvenich)航空基地にビューヒェル航空基地の核兵器と航空機が一時的に移転される予定である(※16)。
米軍は、少なくとも2025年まではB61核爆弾の運用継続を望んでいる。このため、米国政府は、B61核爆弾の近代化のために100億ドルの予算を割り当てている。この近代化されたB61核爆弾〔B61-12〕には、威力可変弾頭(0.3、1.5、10、50kt(キロトン)に威力が可変可能)と命中精度を向上させる衛星航法による誘導システムが搭載予定である(※17)。
3 ドイツの核共有はどのように運用されているのか
2021年に〔ドイツの世論調査機関〕フォルザ(Forsa)が実施した世論調査によれば、ドイツ国民の62%が欧州連合(EU)とロシアとの間のより緊密な協力関係を望んでおり、EU・ロシア関係の強化に賛成しているとされているが(※18)、NATO加盟国とロシアとの間の国家間関係は、悪化の一途をたどっている。ドイツの政治家による公的な発言やドイツ主要メディアによる報道は、この悪化に決定的な影響を与えている。
NATOが毎年秋に行う軍事演習「ステッドファスト・ヌーン(Steadfast Noon)」では、ドイツ連邦軍のパイロットは、ビューヒェル航空基地に駐留するトーネード戦闘機を用いて、ロシアを標的とした核爆弾投下訓練を行っている。ドイツ連邦軍は、ビューヒェル航空基地の防衛訓練も行う。ドイツ連邦軍の第1防空ミサイル部隊のパトリオットミサイルは、この目的のために用意されたものである(※19)。2021年10月に、クランプカレンバウアー(Annegret Kramp-Karrenbauer)ドイツ国防相は、ドイツは、ロシアに対して核兵器を使用する用意がなければならないと公言した(※20)。NATOは、ある一定の紛争段階に至れば、核爆弾を搭載したドイツ連邦軍のトーネード戦闘機の(NATO)東方地域への配備を計画している(※21)。
現在、ドイツ政府が核兵器施設の長期的な使用を想定している顕著な兆候が見られるようになっている。すなわち、ドイツ政府は、30年から40年間使用されて老朽化したトーネード戦闘機に代わる新型航空機〔F-35A〕の取得を計画している。(※22)ドイツに配備されているB61核爆弾とビューヒェル航空基地の核兵器施設は近代化が進められており、特に後者については、飛行運用区域・施設の改修が進行中である(※23)。
4 ドイツの核共有の法的根拠は何か
ドイツ政府は、核共有とビューヒェル航空基地への核兵器の配備について明確に同意しており、また、この同意を維持している。この同意には、〔ドイツ国内法上の〕法的根拠が存在しない。
ドイツ政府は、核共有を法的に正当化する法案を連邦議会に提出したことはない。特に1958年当時に〔西ドイツの〕連立与党であったキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)とドイツ党(DP)による〔西ドイツ連邦軍用の核搭載可能な兵器の装備にかかるとされる〕動議において、このような試みはなされていない。この動議は、1958年3月25日に連立与党の多数派によって採択されたものであり、決議の内容は以下のとおりである。
「1. 連邦議会は、連邦政府が参加し又は影響力を持つ全ての国際交渉及び国際会議において、(a)核兵器及び通常兵器の双方について、一般的に管理された軍縮を提唱すること、(b)連邦共和国が当該軍縮協定を受け入れる用意があることを再確認し、これにより、緊張緩和及びドイツ問題を含む国際問題の解決に貢献することについて、連邦政府の基本的な見解に忠実な取組みを継続するよう連邦政府に要請する。
2. 1957年11月末にモスクワで開催された社会主義国の共産党・労働者党会議において再確認された世界革命の目的を共産主義体制が追及し続ける限り、平和及び自由は、自由世界の共同防衛努力によってのみ確保されうる。連邦議会は、連邦軍が平和及び防衛を維持するためにのみ機能することに留意する。したがって、連邦議会は、連邦政府に対し、一般的な軍縮協定の締結に至るまで、北大西洋の防衛共同体の枠組み内でドイツの国防力の増強を継続するよう求める。この防衛システムの要求と潜在的な敵国の軍備とを併せて考慮し、連邦共和国の軍隊は、NATOの枠組み内で連邦共和国が負う義務を果たし、平和を守るための必要な貢献を効果的に行うことができるように、最新鋭の兵器で武装されなければならない。
3. 国境の両側にいる全ドイツ国民は、来る首脳会議において、ドイツ問題が議論され、解決に近づくことを期待している。連邦議会は、連邦政府に対し、この実現に向けて最善を尽くすよう要請する。
4. 連邦議会は、自由選挙がドイツ再統一の基礎を形成しなければならないという信念を改めて表明する。それは、(a)二つのドイツ国家のための平和条約の締結、(b)現在の地域体制の代表者との交渉、(c)この体制との連合の締結を断固として拒否するということである。
5. 連邦議会は、欧州の安全保障秩序と結びついたドイツ再統一こそがドイツ政治の最も喫緊の課題であるという信念を再確認する。」(※24)
西ドイツ連邦軍の核武装の放棄、核兵器の一般的な非合法化、非核兵器地帯の設置、これらに関する議員団による多くの他の動議は、重要な1点を除き、否決されるか連邦議会の委員会に付託されている。
上記決議の文言には解釈の余地がある。決定的なのは、「連邦共和国の軍隊を最新鋭の兵器で武装させる」旨を述べている一節である。核兵器には言及されておらず、核運搬システムにも触れられてはいない。「核兵器」という用語は、軍縮の取組みに関連して、1回出てくるのみである。西ドイツ連邦軍用として意図された装備に核兵器という用語が用いられていないという事実から、核兵器は、「最新鋭の兵器」を意味するものではなかったと解することができる。西ドイツ連邦軍のための独自の核兵器をアデナウアーと連立与党が望んでいたのは明らかであるが、連邦議会の議事録では、これについて何らの説明も与えられていないのである。連邦議会での討論では、CDU/CSUのキージンガー(Kurt Kiesinger)が政府を代表して次のように発言している。すなわち、〔水素爆弾は最新鋭の兵器ではないのかとの発言に対し〕「大統領、皆さん。ビュッヒャー〔Ewald Bucher〕氏の発言は、最新鋭の兵器とは水素爆弾を意味するものではないと我々が宣言せざるを得ないものです」(※25)と。しかしながら、これだけでは依然として、この決議が戦術核〔の保有の許容〕を意味していたとまではいえない(※26)。核兵器の運搬手段のみの取得については、決議の文言から推測することもできない。
1958年3月25日に連邦議会で議論されたどの動議も、西ドイツ連邦軍のための核兵器の運搬手段の取得を取り扱ってはいない。連邦議会における4日間の白熱した議論は、主に西ドイツ連邦軍が独自に核武装することの是非についてであったのである。
1958年3月25日の連邦議会決議は正式な法律とはならなかったため、核共有の法的根拠の問題について、同決議の解釈は、結局のところ重要なものではない。同決議において、連邦議会は、西ドイツ政府に特定の行動を求めているにすぎないからである。連邦議会は、連邦政府に対し、特定の行動を義務づけるものではない。つまり、1958年3月25日の連邦議会決議は、2010年3月26日の連邦議会決議と同様のものであって、この2010年の決議は、「ドイツは核兵器のない世界のために明確なサインを送らなければならない」と題する決議に関するCDU/CSU、社会民主党(SPD)、自由民主党(FDP)、緑の党(Bündnis 90/Die Grünen)の各議員団による動議について、左翼党議員団の反対票に対し、賛成多数で採択されたものである。同決議では、連邦議会は、ドイツ政府に対し、とりわけ「NATOの新たな戦略概念の策定において、NATOの同盟内のみならず米国の同盟国に対しても、ドイツからの米国の核兵器撤去に全力で取り組むこと」を求めている(※27)。
ドイツ連邦政府は、防衛政策における裁量権の行使として核共有に同意し、法的根拠のないまま、この同意を維持してきた。しかしながら、連邦憲法裁判所で適用される本質性の原則〔いわゆる「本質性理論」〕(※28)は、正式な立法手続を義務づけている。同原則は、連邦憲法裁判所の判例により形成されたものであって、立法府は、基本権にかかる分野における国家の行為を正式な法律によって正当化しなければならないというものである。この法理の基礎となるのは、法の支配の原則に根ざした法律の留保の原則と民主主義の原則に根ざした議会留保の原則であり、行政府は、正式な法律によって権限を与えられる場合に限り、行動することができるというものである。基本権の行使に不可欠なものの全てが法律の留保の対象となる(※29)。
ビューヒェル航空基地への核兵器の配備や西ドイツ連邦軍への核兵器の配備の可能性は、この地域全体と同地域に居住する住民の健康と生命に対する基本権にとって自己の存立に関わる重要事項であったのであり、現在でもそうであるのだから、必要な立法手続のための法的・事実的要件は、西ドイツ政府が核共有を承認したときに満たされていたはずである(※30)。
また、ドイツ政府は、NATOの核防衛への参加に関する国際法上の条約を締結していない(※31)。核戦略は、必ずしも北大西洋条約への加入から生じるものではない。なぜなら、北大西洋条約は、特定の防衛兵器や戦略について何ら規定していないからである。また、同条約では、「核兵器」や「核戦力」といった用語すら使用されてはいない。
核共有は、NATOの同盟国間で合意された戦略概念の一部にすぎない。2001年11月22日の連邦憲法裁判所の判決によれば、NATOの戦略概念は、正式な条約でないばかりか、黙示的〔な権限に基づく〕条約(implied treaty)ですらないのである(※32)。
5 核共有の違法性
5-1 ビューヒェル航空基地には、国際人道法で使用が禁止されている核爆弾が使用可能な状態で配備されている。
1949年8月12日のジュネーブ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書Ⅰ)〔ジュネーブ諸条約第一追加議定書〕(※33) は、第35条において、「いかなる武力紛争においても、紛争当事者が戦闘の方法及び手段を選ぶ権利は、無制限ではない」と明確に規定している。つまり、紛争当事者は、国際人道法によって禁止されていない兵器を用いることでしか自衛することはできない。〔1996年の核兵器の威嚇又は使用の合法性に関する〕国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見(核兵器勧告的意見)によれば、核兵器の使用と使用の威嚇は、ジュネーブ諸条約により禁止されている(※34)。なぜなら、
ビューヒェル航空基地に配備された核兵器が使用されることになれば、このような影響を避けることはできない。ビューヒェル航空基地に配備された核兵器は、標的となった地域の全ての生物に無差別な影響を与え、生存者や環境に放射性物質を放出し、風に乗って近隣諸国に放射性降下物を送り込むことになるのである。
国際法上の使用の禁止は、条約の締約国だけではなく、国際慣習法の下で世界中の全ての国家を拘束する(※35)。つまり、国際慣習法上の使用の禁止は、〔核兵器勧告的意見の審理において〕核兵器国とその同盟国が主張し、ICJが司法判断を回避した「国家の生存がかかった自衛の極端な状況」を含め、核兵器国とその同盟国により主張される全ての自衛のケースに適用されるものである。核兵器勧告的意見の審理において、核兵器国は、新型で小型かつクリーンな核兵器を開発していると主張した。しかしながら、放射性物質を放出しないような兵器は、もはや核兵器とはいえないのだから、そのようなことは起こり得ないし、想像することも困難である。
ICJの判事たちは、当時、技術的に否定できなかった自称「クリーンな」小型の戦術核に限ったものとして、「核兵器の使用は、あらゆる状況における武力紛争に適用される法の原則と規則に必然的に反すると[当裁判所が]確実に結論づけるに足りる十分な要素を有していない」(※36)と述べている。
しかしながら、核兵器勧告的意見において、ICJは、国家の生存がかかった自衛の極端な状況であったとしても、国際人道法の原則と規則を遵守するのであれば、核兵器のいかなる使用も国際法に従うものであることを明確にしている。ICJは、国連憲章第51条に規定される自衛権〔開戦法規(jus ad bellum)の規律〕は、「いかなる武力行使の手段であっても」、国際人道法〔交戦法規(jus in bello)の規律〕により制限されると述べている(※37)。国家の生存がかかった自衛の極端な状況においても、これと異なる規則を国際法から推論することはできず、ICJによっても、そのような判示はなされていない。
〔当時の〕ベジャウィ(Mohammed Bedjaoui)ICJ裁判所長は、核兵器勧告的意見に添付された宣言において次のように述べている。すなわち、「当裁判所がこの状況の説明を乗り越えることができないことが、核兵器の威嚇又は使用の合法性を認める扉が半分開いていることを意味するものと決して解釈されないということは、いくら強調しても足りない」(※38)と。
上記のICJの法的見解は、国連憲章第96条に基づき、国連総会により要請されたものである。その際に、国連総会は、核兵器国とその同盟国による激しい抵抗に対峙して、「世界法廷プロジェクト(World Court Project)」を立ち上げた核戦争防止国際医師会議(IPPNW)、国際反核法律家協会(IALANA)、国際平和ビューロー(IPB)を含むNGOと市民社会の運動による世界的なイニシアティブの主張を採用した。
ICJに倣って、ドイツ国防省は、2006年・2008年版の「武力紛争における国際人道法」と題する小冊子〔ポケットカード〕のなかで、武力紛争においてドイツの軍人や軍属が核兵器を使用することを明確に禁止している(※39)。
ICJによれば、国際人道法の原則と規則は、国際慣習法の一部である(※40)。ICJ規程第38条に基づき、これらの原則と規則は国際法として適用され、ドイツにおいては、ドイツ憲法(基本法)第25条に基づく国際法の一般規則として、連邦法の主要な構成要素となっている。
5-2 核兵器の使用と使用の威嚇は、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)(※41)の第6条に規定される生命に対する権利を侵害するものである。自由権規約は、1976年に発効しており、武力紛争時にも適用される。自由権規約第6条は、文字どおり、「すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われない。」と規定している。ドイツは、自由権規約の締約国である。国際法上禁止されている戦争兵器による不当な殺害は、この〔国際人権法上の〕生命に対する権利を無視することになるのである。
2018年10月に〔自由権規約の条約監督機関である〕自由権規約委員会は、自由権規約第6条についてのコメンタリー〔一般的意見36〕の65項において、「既存の兵器の配備、使用、売却又は購入並びに戦争の兵器及び手段又は手法の研究、開発、取得又は導入に関与する締約国は、常に生命に対する権利に及ぼす影響を考慮しなければならない」と述べている。一般的意見36の66項は、特に次のように述べている。すなわち、「実際に無差別的であり、壊滅的な規模で人間の生命の破壊を引き起こす性質を有する大量破壊兵器、特に核兵器の威嚇又は使用は、生命に対する権利の尊重とは相容れず、国際法上の犯罪となりうる」(※42)と。
5-3 NATOの作戦では、ビューヒェル航空基地のドイツ連邦軍の兵士は、米国大統領の許可が得られた後に、同基地に配備されているB61核爆弾を米軍の兵士から受領し、第33戦闘爆撃航空団のトーネード戦闘機にこの核爆弾を吊り下げて目標地点まで飛行して、同所に核爆弾を投下する。このようにして、米国とドイツの両国は、核兵器不拡散条約(NPT)(※43)に違反することになる。
NPTの締約国として、非核兵器国であるドイツは、NPT第2条に基づき、「核兵器その他の核爆発装置又はその管理をいかなる者からも直接又は間接に受領しない」義務を負っている。同様に、〔核兵器国である〕米国は、NPT第1条に基づき、「核兵器その他の核爆発装置又はその管理をいかなる者に対しても直接又は間接に移譲しない」義務を負っている。NPTは核共有についての例外を規定していない。それにもかかわらず、ドイツ政府は、NPTの署名・批准時に正式な留保を宣言し、これにより有事の際に核兵器を処分する権利を留保したとして、この事実を援用している。
西ドイツ政府が表明したとされる留保は、この事実を裏付けるものではない。ドイツ政府のいう留保とは、単にNATOの集団安全保障体制に西ドイツが引き続き関与することを表明したものにすぎない。この「西ドイツ政府の宣言」では、NATOの集団安全保障の規則に従って、西ドイツの防衛を確保すべき兵器を指定してはいない。西ドイツの特別な関心は、核共有の存続と〔当時、米国が推進していた多角的核戦力 (MLF)構想に含まれていたもので、欧州統合後にMLFを欧州の核戦力とする〕いわゆるヨーロッパ・オプションの擁護であったものの(※44)、核兵器は、同宣言において明示的に言及されていないのである。「西ドイツ政府の宣言」の文言(※45)は、NATOが通常兵器システムのみでドイツを防衛することを妨げるものではない。また、同宣言は、当時すでに行われていた核共有がNPTの発効後も継続されることを意味するものではない。
〔条約に関する国際慣習法を法典化した〕条約法に関するウィーン条約(条約法条約)(※46)の第31条に基づく留保の解釈においては、条約締結時に当事国が主観的に意図した表現とは関係なく、文言そのものが解釈上の決め手となる(※47)。また、条約法条約第19条(c)によれば、条約の趣旨・目的と両立する場合にしか留保を付すことはできない。NPTの目的は、核兵器国が非核兵器国に核兵器を移譲してはならず、また、非核兵器国は、核兵器についてのいかなる処分権も行使してはならないことにあるのだから、核兵器が移譲されることにより、NPTは実質的に損なわれることになる。それ以上の規定は、NPTの第1条と第2条には含まれていない。NPTの発効後も核共有(例えば、有事の際に核兵器の処分権を移譲することなど)の適用を継続することは、NPTの文言と趣旨を覆すものとなる。条約法条約第19条(c)により、「西ドイツ政府の宣言」は、国際法上の留保とはなりえず、または、留保としては無効である(※48)。
「西ドイツ政府の宣言」は、解釈宣言としてしか理解することができない。解釈宣言は、条約規定を排除・変更することを目的とするものではなく、明確化することのみを目的とする点で留保とは異なる(※49)。解釈宣言は、留保以上に条約全体の明白な文言と目的に矛盾してはならないものである。しかしながら、西ドイツ政府による「明確化」では、有事の際に核兵器を自由に処分する権限が移譲されることを意味してしまう。この解釈は、条約法条約の第31条1項と第19条(c)に照らして不合理であって、法的効力を有しないというべきである。西ドイツと米国との二国間による解釈が同一である可能性(いわゆる「ラスク書簡(Rusk Letter)」の問題)については、有事の際にNPTの中核的な規定を無意味にするものであって、NPT第1条と第2条の明確な規定に抵触するため、これをもって両国がNPTに違反する権利を得ることはできない(※50)。
核共有が存在することで核爆弾の投下軍事演習が行われてきたことについても、異なる評価を要するものではない。たしかに、条約法条約第31条3項(b)が「条約の適用につき後に生じた慣行」を「考慮する」よう要求していることは事実である。しかしながら、これは、「条約の解釈についての当事国の合意を確立する」場合に限られる。〔NPTの〕多数の非核兵器国が核共有に反対していることは、このような合意が確立していないことを示している。
NATO諸国は、いわゆる「戦時留保(war reservation)」の実施を継続している。この「戦時留保」によれば、「戦争開始の決定がなされた」場合、(「その時点で条約はもはや権威を失うことになり」)(※51)、NPTは適用されないという。この一般には秘匿されている「戦時留保」に国際法上の効力があるとすれば、緊張や戦争が生じた際に、NPTやNPTに含まれる非核兵器国に対する核兵器不拡散の禁止〔規範〕が形骸化されてしまうことになる。
NPT第2条に国際法に基づく正式な留保が付された証拠は、いまだ一般に開示されてはいない。「戦時留保」の有効性については、国際法上の重大な疑義があり、一つは、手続面(条約法条約第23条に従ったNPT締約国に対して提供される確認済みの情報の欠如)であり、もう一つは、実体面(条約法条約第19条の意味でのNPTの趣旨・目的との整合性の欠如)である。
ドイツ連邦軍の兵士に核兵器を移譲することはNPTに違反する。核兵器を目標地点まで輸送し、投下することが国際法上違法であるのならば、ドイツ連邦軍による核兵器の配備と核兵器の使用を想定した作戦演習を国際法上正当化することはできない。
NPTは、批准により、基本法第59条2項に基づき、ドイツ国内で適用される国際条約法となっており、また、基本法第20条3項に基づき、ドイツ政府とドイツ連邦軍の兵士にも適用されるものとなっている。
5-4 国際法上の犯罪に対する刑事手続は、核爆弾の使用に関与した全ての者に対して開始されなければならない。核爆弾の使用に関与した者は、特に、ドイツ国際刑法典の第7条に規定される人道に対する犯罪と第8条に規定される戦争犯罪について弁明しなければならない。ドイツ国際刑法典の第7条では、文民たる住民に対する広範又は組織的な攻撃の過程における人の殺害が処罰の対象とされており、また、第8条では、武力紛争の際に国際人道法により保護される人の殺害が処罰の対象とされている(※52)。核兵器勧告的意見では、あらゆる核兵器の使用が国際人道法違反になるとされており、「命令に従って行動した」ことは免責事由とはならない。また、〔交戦規則(ROE)が簡潔に示された兵士が携帯するハンドブックである〕ドイツ国防省の「武力紛争において遵守すべき国際人道法に関するポケットカード」(2006年・2008年版)〔注39を参照せよ〕により、全てのドイツ連邦軍の兵士は、法的な根拠に基づいて核兵器の使用を禁止されている。
6 核共有の批判と解決策
冷戦の終結後、欧州に配備される米国の核兵器は、NATOの視点から主に政治的・心理的な機能を果たしてきた。その機能とは、核抑止が新たなNATO加盟国にも適用されること、NATO諸国が分裂することはないこと、そして、核政策の責任が共有されること、このようなサインを送るというものであった。これとは対照的に、欧州に配備される米国の核兵器は、特定の軍事的機能をほとんど失ってしまった(※53)。つまり、軍事的に余剰なものとなっているのである。
現在では、米海軍の14隻のオハイオ級原子力潜水艦に配備されているトライデントミサイル用に小型かつピンポイントの核弾頭〔W76-2〕が開発されており、米海軍は、あらゆる場所への限定的な核攻撃が可能となっている(※54)。撃墜されるおそれの高い敵地への飛行による戦術核の危険な輸送は、このように不要なものとなっている(※55)。加えて、このようなトライデントミサイルの実装は、NATOに提供されている〔核計画グループ(NPG)の協議制度の枠組みの〕ような米国と他の同盟国との間の協議の必要性をも失わせてしまっている。
近年、米国・NATO・EUとロシアとの間の政治情勢は、悪化の一途をたどっていることが見て取れる。NATOとロシアは、核兵器が重要な役割を果たす相互に軍事的な脅威となるシナリオを構築中である。例えば、2021年7月に米国のバイデン(Joseph Biden)大統領は、ロシアによるサイバー攻撃を念頭に、ある大国が大規模なサイバー攻撃によって米国のインフラに損害を与えた場合、核兵器により米国を防衛すると威嚇した(※56)。2021年10月21日には、ドイツのクランプカレンバウアー国防相が、NATOの抑止戦略の一環として、核兵器を使用するとロシアを威嚇した(※57)。『FAZ』紙の報道によれば、2020年秋にビューヒェルで行われた「ステッドファスト・ヌーン」において、ドイツ連邦軍の兵士は、ロシアを標的として核爆弾の使用訓練を行っている(※58)。
上記の文脈の中でのドイツの軍事的役割は矛盾したものである。一方では、ビューヒェル航空基地に駐留するトーネード戦闘機による核爆弾ミッションは、軍事的にほとんど意味をなさない。他方では、ドイツの政治家は、再びNATOの核抑止戦略に積極的に関与していると考えている。核共有を維持することは、軍事的な利益なく、NATOの同盟諸国をNATOの主要国である米国とより密接に結びつけるものであり、また、米国の紛争にNATOの同盟諸国を関与させることになると結論づけざるを得ない。このことは、ドイツが核抑止に参加することの意義を再考する契機となるはずである。
核抑止の全ての概念と戦略は、核の炎で完全に焼き尽くすとまではいかなくても、受け入れ難い結末と損害をもたらす軍事的な反撃があると威嚇することにより、潜在的な敵対者が核攻撃から効果的に抑止されることを想定している。
しかしながら、この抑止の戦略が「機能する」ための構成要素は、十分かつ特別に利用可能な情報に基づき、合理的な決定を独占的に下す者であるところの、合理的に計算する敵対者に常に対処しなければならないものである。抑止戦略それ自体の「論理」によれば、「非合理的な」敵対者を抑止しようとする場合には、抑止の概念は機能しない。例えば、敵対者が「合理的な」議論に応じない場合、つまり、何らかの理由で合理的な推論をすることができない、または、合理的な推論をしたくない場合などである。このような「抑止に抵抗する」敵対者の歴史的な事例は決して珍しいものではなく、さしあたり、流血の「極端な時代」であった20世紀において、もしあの人が核兵器を保有していたのであればと想像してみてほしい(※59)。現代の世界政治も同様の危険を示しているのである。
また、たとえ敵対者が「合理的な敵」であったとしても、核抑止が機能するかどうかは、その敵対者が、重要な意思決定を要する状況を必要な程度に評価・判断することができ、そして、限られた時間の中で、そこから責任ある結論を導き出すことができるという、具体的な状況に応じて利用可能な時間的・情報的能力を十分に持っているかどうかに依存している。人類の生き残りがかかっているような事態において、このような核抑止の理論が実際に機能するかは非常に疑わしく、また、不確実なものである(※60)。
抑止の「論理」は、ヒューマンエラーや「技術的失敗」が作用した場合でも機能しなくなり、危険な限界点に達してしまう。例えば、非常に短い警告時間のなかで、電子的な誤情報が通信システムに入り込んだ場合や、コンピューターシステムから得られたデータが特定の意思決定を要する敵の攻撃を示しており、この情報が確実かどうかを判断しかねる場合のような、相手側にとって非常に困難、あるいは対処不可能な欠陥が生じる場合が挙げられる(※61)。
過去70年の間に、世界が核の炎に包まれる瀬戸際となるソ連・ロシアと米国との間の危機的な状況が、少なくとも20回は存在した。これらの危機的な状況において、世界が核の破局を免れたのは、単に非常に幸運であったからにすぎない。核時代の過去数十年間にわたり人類が生き残ったのは、マクナマラ(Robert McNamara)元米国防長官が適切に表現したように、結局のところ幸運な偶然の産物にすぎないのである(※62)。
ドイツがNATOの核抑止戦略に参加することのデメリットがメリットを上回ることは明らかである。ドイツが関与する核兵器を用いた戦争は、ドイツの国土の大部分を破壊し、そこに住む全ての生命を奪い、そして、標的となった地域を長期間にわたって居住不可能にしうる(※63)。これでは、全ての計画において西ドイツが核による対決の戦場とされた冷戦時代に逆戻りすることになり、責任のある政治であるとは言い難い。
〔スウェーデン元首相のパルメ(Olof Palme)の提唱で1980年9月に組織された〕いわゆるパルメ委員会〔軍縮と安全保障問題に関する独立委員会〕は、元西ドイツの閣僚で軍縮専門家のバール(Egon Bahr)を含む、東西・南北の代表的な政治家や専門家19人が参加したものであり、同委員会は、1980年代初頭の冷戦最盛期の核抑止ドクトリンによる生命を脅かす結末を詳細に分析し、そこから「共通の安全保障(Common Security)」という代替概念に集約される特筆すべき結論を導き出した。
「今日の世界において、安全保障は一方的に達成できるものではない。我々は、政治的、経済的、文化的、そして何より軍事的な構造がますます相互依存を深めている世界に住んでいる。自国の安全保障は、他国の犠牲の上に成り立つものではないのである。」つまり、相互確証破壊(MAD)の核時代においては、その状況のゆえに、安全保障は、もはや潜在的な敵対者〔への対処〕から得ることはできず、潜在的な敵対者との協力によってのみ達成することが可能となるのである。
ドイツは、国際法上の理由のみならず、政治的な理由からも核共有を終了するべきである。ドイツに配備されている米国のDCA用の核爆弾は、冷戦終結後のより柔軟な「適応型(adaptive)」の目標計画に組み込まれたNATOの新たな目標には不向きである。核抑止の観点からしても、有事の際にNATOが利用可能な潜水艦発射型の〔弾道ミサイル(SLBM)に搭載される〕核兵器でこなせないタスクは極めて少ない(※64)。
ドイツ政府は、米国政府が検討中とされるドイツからポーランドへの核兵器の移転を妨げることはできないだろう。しかしながら、核兵器のないドイツは、世界と核武装反対派にとって明るい兆しとなる。核の対決が生じた場合、ドイツは、他の非核兵器国と同様に扱われ、また、保護されなければならない。
核共有が終了したとしても、ドイツは、NATOの軍事同盟における加盟国の地位を保持し続ける。ドイツは、同盟内の他の非核兵器国と同様の条約上の権利・義務を有するのである。
ドイツが核共有を終了する方法はシンプルである。連邦憲法裁判所によれば、ドイツは、核共有を法に基づいて合意しているわけではなく、政府間の合意によってのみ合意しているのであって、ドイツ政府による宣言とNATO加盟国への通知により核共有は終了することができる(※65)。ドイツ政府は、2021年1月22日に発効した核兵器禁止条約(TPNW)に加入することで、核共有の終了と同様の結果を得ることができるだろう。TPNWは、〔核兵器にかかる〕現行の国際法上の禁止事項を再確認しており、また、〔加入により〕ドイツに核共有の終了を義務づけるものである。
また、連邦議会は、関連する法案を成立させることで核共有を終了する機会を得ることができるだろう。すでに、連邦議会の大多数は、2010年3月26日に採択された連邦議会決議において、ドイツからの米国の核兵器撤去に全力で取り組むようドイツ政府に要請している(※66)。
最終的には、国際法上の核共有の違法性に関して連邦憲法裁判所が判決を下し、ドイツ政府も同判決に耳を傾けて、実行する必要がある。司法と同様に、行政権の一部であるドイツ政府もまた、基本法第20条3項により、法と正義に拘束されているのである。
*本稿は、Bernd Hahnfeld, Nukleare Teilhabe(英語版題名:Nuclear sharing)を訳出したものである。原著はドイツ語であり、2021年11月23日に国際反核法律家協会(IALANA)ドイツ支部のウェブサイトに掲載された。英語版(訳:IALANA)は、2022年6月21~23日にオーストリア・ウィーンで開催された核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議(1MSP)の開催に併せ、2022年6月20日にIALANAのウェブサイトに掲載された。訳出に際しては英語版を第一の典拠としているが、必要に応じてドイツ語版を参照した。また、一部の注の表記を訳者が調整した。ウェブサイトのURLについては2022年10月15日の時点で接続を確認した。〔 〕は訳者が補ったもので訳注を兼ねている。
なお、本稿は、2020年9月20日にIALANAドイツ支部のウェブサイトに掲載されたBernd Hahnfeld, Widerspruch gegen die Behauptung der Bundesregierung, die von Deutschland im Rahmen der NATO praktizierte nukleare Teilhabe verstoße nicht gegen den Nichtverbreitungsvertrag(英語版題名は、Opposition to the Federal Government's assertion that the nuclear sharing practiced by Germany within the framework of NATO does not violate the Non-Proliferation Treaty、日本語版題名は、「ドイツにおけるニュークリア・シェアリング(核共有)の違法性:核不拡散条約(NPT)・条約法条約・核兵器勧告的意見の観点から」であり、原題を直訳すると「NATOの枠組み内でドイツにより実施されている核共有は核不拡散条約に違反しないとの連邦政府の主張に対する異議申立て」となる)の改訂論稿であり、改定前論稿で示されたドイツ法ないし国際法の観点からの核共有の違法性論を軸に、核共有の歴史・運用形態・法的根拠、さらには核抑止論批判も織り込んで大幅な加筆がなされたものである。そのため、一部の記述について、改定前論稿と重複する部分があることをお断りしておく。改定前論稿(日本語版、ドイツ語版・英語版への出典リンクあり)については、日本反核法律家協会(JALANA)のウェブサイトで利用できる。
【註】
※1 トルコについては、安全保障上の理由から、インジルリク(Incirlik)空軍基地に配備されていた核兵器を米国が撤去したのかは明らかではない。トルコの航空機は、1990年代の半ばから核兵器使用のための認定を受けていないと報じられている。
※2 BVerfG, Order of the Federal Constitutional Court of 15 March 2018 (2BvR 1371/13).
※3 Federal Agency for Civic Education, BICC〔Bonn International Centre for Conversion〕 01/2013.
※4 Peter Rudolf, Deutschland, die Nato und die nukleare Abschreckung, Stiftung Wissenschaft und Politik, Studie 11, May 2020.
※5 左翼党(Die Linke)による質問に対し、ドイツ政府からは、ビューヒェル航空基地での飛行活動は、大規模な改修工事のため、2022年6月から2026年2月までほぼ停止し、ノルトライン・ヴェストファーレン州のネルフェニッヒ航空基地に移転されるとの回答があったという。BT-Drucksache 19/12524.
※6 Wissenschaftlicher Dienst des Bundestages – WD2-3000-102/20.
※7 Karl Brandstetter, Allianz des Mißtrauens, Köln 1989, S.129.
※8 Ottfried Nassauer, 50 Jahre Nuklearwaffen in Deutschland, Aus politik und Zeitgeschichte (APuZ), 21/2005.
※9 Nassauer ibid.
※10 Nassauer ibid.
※11 Nassauer ibid.
※12 Nassauer ibid.
※13 「NATO加盟国の防衛及び安全保障のための戦略概念(Strategic Concept for the Defense and Security of North Atlantic Treaty Organization Members)」(2010年版)。2010年版戦略概念は、2020年に再確認されている。すなわち、「核兵器が存在する限り、NATOは、安全かつ信頼できる核戦力を維持し続けるべきである」と。〔なお、NATOの戦略概念については、NATOのウェブサイト(「1991年版戦略概念」、「2010年版戦略概念」、「2022年版戦略概念」)で利用可能。2022年版戦略概念は、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、2010年版戦略概念では「戦略的パートナー」としていたロシアを「最大かつ直接の脅威(the most significant and direct threat)」と位置づけ、大きな方針転換がなされた。さらに、成立時からのNATOの核戦略の変遷を跡づけた上で、2010年版戦略概念を「核廃絶派」のアクターの立場から展望した貴重な論稿として、小倉康久「NATOの核戦略:新戦略概念の検討」、浦田賢治編著(訳:伊藤勧/城秀孝/森川泰宏)『核抑止の理論:国際法からの挑戦』(日本評論社、2011年)所収、同書50-62頁を見よ〕
※14 2018年7月11~12日にベルギー・ブリュッセルで開催されたNAC首脳会合における首脳宣言の35項。同宣言は、NATOのウェブサイトで利用できる(2020年4月28日接続)。
※15 Spiegel.de accessed on 9.7.2007.
※16 See footnote 5.
※17 Nassauer ibid.〔footnote 8〕〔なお、広島原爆の威力は16kt、長崎原爆の威力は21ktとされる。詳細については、朝長万左男/鎌田七男/葉佐井博己「広島・長崎における原子爆弾の物理的・医学的影響」、平成25年度外務省委託研究『核兵器使用の多方面における影響に関する調査研究』(外務省ウェブサイト、2014年)所収、同報告書10-32頁、特に12-13頁を見よ〕
※18 Ostausschuss der deutschen Wirtschaft, ost-ausschuss.de accessed on 2.6.2021.
※19 FAZ.net accessed on 17.10.2020.
※20 Deutschlandfunk.de accessed on 21.10.2021, World Socialist Website accessed on 28.10.2021, ntv on 24.10.2021.
※21 FAZ.net accessed on 18.10.2021.
※22 BT-Drucksache 19/19884, Handelsblatt.de accessed on 4.11.2020, DGAP.org accessed on 3.2.2020.
※23 BT-Drucksache 19/27108, BT-Drucksache 19/26133.
※24 Anlage 10, Umdruck 41 zum Bundestagsprotokoll, 25 März 1958.〔なお、同決議の採択までの経緯については、岩間陽子「アデナウアーと西ドイツの核保有問題」GRIPS Discussion Paper 16-19(2016年)、1-27頁、特に14-19頁(政策研究大学院大学学術機関リポジトリで利用可能)を見よ〕
※25 Bundestagsprotokoll ibid., p.1160.
※26 それとも、ビューヒェル航空基地に配備されたB61核爆弾は水素爆弾であったということなのだろうか。
※27 Deutscher Bundestag – Plenarprotokoll 17/35, Drucksache 17/1159.〔なお、同決議の採択までの経緯については、津崎直人「ドイツ連邦議会における核兵器の撤去、核兵器共有政策の放棄に関する議論(1983-2017年)」広島平和研究5号(2018年)、35-54頁、特に46-48頁(広島市立大学機関リポジトリで利用可能)を見よ〕
※28 BVerfGE 40, 237 (249); 49, 89 (126); 83, 130 (142, 151 f.); 95, 267 (307).
※29 BVerfGE 47, 46ff Ziffern III, 3, 5.〔なお、ドイツにおける「本質性理論」と「法律の留保」ないし「議会留保」との関係をめぐる議論については、国立国会図書館調査及び立法考査局『国会による行政統制:ドイツの「議会留保」をめぐる憲法理論と実務 平成26年度国際政策セミナー報告書』(国会図書館ウェブサイト、2015年)を見よ〕
※30 核兵器の作戦配備が行われているため、ビューヒェル航空基地の配備地点は、敵の先制核攻撃や核反撃の標的となっている。「ステッドファスト・ヌーン」において、ドイツ連邦軍は、パトリオットミサイルを用いて予想される核攻撃に対する防御演習を行っている。
※31 BVerfG Urteil vom 22.11.2001 – 2 BvE 6/99.
※32 ibid., RdNR.131.〔なお、北大西洋条約の邦訳(全訳)については、藤田久一/浅田正彦編(編集協力:阿部達也/北野嘉章)『軍縮条約・資料集(第三版)』(有信堂高文社、2009年)、368-369頁を見よ〕
※33 BGBl. 1990 II S.1551. 〔ジュネーブ諸条約第一追加議定書の日本語公定訳は、外務省のウェブサイトで利用可能〕
※34 ICJ, Advisory Opinion on Legality of the Threat or Use of Nuclear Weapons, 8 July 1996. ドイツ語版と英語版については、IALANA, Atomwaffen vor dem Internationalen Gerichtshof, Münster 1997を見よ。また、核兵器勧告的意見は、ICJのウェブサイトでも利用できる。〔なお、核兵器勧告的意見の邦訳については、訳:山田寿則(監訳:浦田賢治)「核兵器の威嚇または使用の合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見」、ジョン・バロース(監訳:浦田賢治、訳:山田寿則/伊藤勧)『核兵器使用の違法性:国際司法裁判所の勧告的意見』(早稲田大学比較法研究所、2001年)所収、同書205-258頁を見よ〕
※35 核兵器勧告的意見の78項。
※36 核兵器勧告的意見の95項。
※37 核兵器勧告的意見の40項、41項、42項、78項。42項では「均衡性原則は、それ自体としては、あらゆる状況における自衛による核兵器使用を排除するものではない。しかし、同時に、自衛の法の下で均衡のある武力行使は、合法であるためには、特に人道法の原則及び規則を含む武力紛争で適用される法の要求を満たさなければならない。」としている。〔なお、国際人道法(武力紛争法(LOAC))上の核兵器の合法性全般に関する簡潔な解説として、真山全「核兵器の合法性」、広島市立大学広島平和研究所編『平和と安全保障を考える事典』(法律文化社、2016年)所収、107-108頁を見よ〕
※38 IALANA ibid., p.115.〔footnote 34〕 ICJ判事の宣言については、注34記載のICJのウェブサイトでも利用できる。〔なお、本文下記に記述される「世界法廷プロジェクト」の詳細については、ニコラス・グリーフ(訳:浦田賢治/小松浩)「核兵器と国際法に関する世界法廷プロジェクト」早稲田法学69巻1号(1993年)、75-89頁(早稲田大学リポジトリで利用可能)を見よ〕
※39 Bundesministerium der Verteidigung, R II 3, Druckschrift Einsatz Nr.03〔Humanitäres Völkerrecht in bewaffneten Konflikten :Grundsätze, 2006〕, DSK SF009320187.〔2006 editions〕
※40 核兵器勧告的意見の79項。〔なお、本文下記に記述されるドイツ連邦共和国基本法の邦訳については、訳:初宿正典『ドイツ連邦共和国基本法:全訳と第62回改正までの全経過』(信山社出版、2018年);さしあたりウェブ上で利用可能な邦訳として、訳:中川恒雄「ドイツ連邦共和国基本法 三カ国語対訳」を見よ〕
※41 BGBl. 1973 II S.1534, UNTS vol.999, p.171.〔自由権規約の日本語公定訳は、外務省のウェブサイトで利用可能〕
※42 Human Rights Committee, General comment No.36 (2018) on article 6 of the International Covenant on Civil and Political Rights, on the right to life, 30 October 2018, CCPR/C/GC/36. 一般的意見36は、国連のウェブサイトで利用できる。〔なお、TPNW第6条(TPNWにおける人道的軍縮の特徴の中核をなす「被害者援助」と「環境修復」の義務(積極的義務)を規定する条項)に関連して、核兵器と生命に対する権利との関係を始めとした国際人権規範全般を解説する論稿として、ボニー・ドチェルティ(訳:森川泰宏)「核兵器禁止条約(TPNW)と国際人権法」反核法律家108号(2021年)、50-56頁(JALANAのウェブサイトで利用可能)を見よ〕
※43 BGBl. 1974 II S.786.〔NPTの日本語公定訳は、外務省のウェブサイトで利用可能〕
※44 Matthias Küntzel, Bonn und die Bombe, Deutsche Atomwaffenpolitik von Adenauer bis Brandt, Frankfurt/M.1992, p.143.
※45 Bernd Hahnfeld, Nukleare Teilhabe ist völkerrechtswidrig, Wissenschaft und Frieden (W&F), 2/2020, p.46ff.〔なお、本文中の「西ドイツの宣言」の邦訳については、ベルント・ハーンフェルト(訳:森川泰宏)「ドイツにおけるニュークリア・シェアリング(核共有)の違法性:核不拡散条約(NPT)・条約法条約・核兵器勧告的意見の観点から」反核法律家107号(2021年)、41-42頁(本稿の改定前論稿。JALANAのウェブサイトで利用可能)を見よ。特に、西ドイツは、①署名時(1969年)の宣言につき「ドイツ連邦共和国政府は… (4)ドイツ連邦共和国の安全保障がNATOにより引き続き保証されることを前提とし、NATOの集団安全保障の規則に全面的に関与することとする。」、②批准時(1975年)の宣言につき「ドイツ連邦共和国政府は… 2.ドイツ連邦共和国の安全保障が引き続きNATOにより保証されるものであり、ドイツ連邦共和国政府は、NATOの集団安全保障の規則により拘束されることを前提とする。」と宣言しているとされる〕
※46 BGBl 1985 II p.927. 〔条約法条約の日本語公定訳は、外務省のウェブサイトで利用可能〕
※47 Wolfgang Graf Vitzthum in Wolfgang Graf Vietzthum, Völkerrecht 4. Auflage, 1.Abschnitt RdNr.123; von Heinegg ibid.,§12 RdNr.12.
※48 Bernd Hahnfeld ibid.〔footnote 45〕
※49 von Heinegg ibid., §15 RdNr.4.〔footnote 47〕
※50 Bernd Hahnfeld ibid.〔footnote 45〕
※51 NPT批准に先立つ同意法(Consent Act)の審議のために西ドイツ政府により連邦議会に提出されたドイツ外務省の覚書を参照。同覚書には、対応する米国の「解釈声明(interpretative statement)」(「ラスク書簡」)が転載されており、議事録も公表されている(Bundestagsdrucksache 7/994, p.17)。しかしながら、「ラスク書簡」は、一般にはほとんど知られていない。同議事録は、IALANAドイツ支部のウェブサイトで利用できる。〔なお、IALANA Germany, An end to the atomic age, Annex 1〔pp.39-41〕and p.19, 2019(IALANAのウェブサイトで利用可能)によれば、本稿でいう「ラスク書簡」とは、当時のラスク(Dean Rusk)米国務長官がジョンソン(Lyndon Johnson)米大統領に宛てた書簡に同封されていたもので、同盟諸国からのNPT草案に関する質問と米国による回答のことを指す。同書簡は、1968年7月9日に他の関連文書とともに米国上院に提出され、同日公開された。上記の「質問と回答部分」の作成過程については、米国務省歴史課(Office of the Historian)のウェブサイトを見よ。また、上記の「質問と回答部分」の邦訳については、ウェブサイト「核情報」(主宰:田窪雅文)に掲載されている邦訳資料(「米国解釈Q&A」)を見よ。さらに、同ウェブサイトに掲載されている第10回NPT再検討会議(2022年8月)でなされた「ドイツの核共有正当化発言」の邦訳資料(「中・独論争」)は、核共有のNPT解釈をめぐるドイツの直近の立場が示されたものとして参考になるだろう。同発言において、ドイツは、「NATOの核共有の取り決め(nuclear sharing arrangements)は、途切れることなく(seamlessに)NPTに統合された」と述べている〕
※52 Bernd Hahnfeld, Die Nuklear-Strategie der NATO – Das Völkerrecht und strafrechtliche Konsequenzen, Wissenschaft und Frieden (W&F), 2/2005, S.39. 2002年6月26日に制定された国際刑法典により、ドイツは、国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程に規定される犯罪の諸要素をドイツの実体刑法に取り入れている。〔なお、ドイツ国際刑法典の邦訳については、訳:フィリップ・オステン/久保田隆「ドイツ国際刑法典全訳(関連規定含む:二〇一七年一月一日現在)」法学研究90巻4号(2017年)、37-49頁(慶應義塾大学学術情報リポジトリで利用可能)を見よ。さらに、ICCの設立までの歴史的経緯と設立の意義を簡潔にまとめた論稿として、森川泰宏「国際刑事裁判所(ICC)設立までの経緯について」NCCD Japan 38号(2009年)、15-38頁(明治大学学術成果リポジトリで利用可能)を見よ〕
※53 See footnote 3.
※54 Ottfried Nassauer, Nukleare Teilhabe – überholtes Konzept ohne Funktion, Bits.de accessed on 18.4.2020.〔なお、米国の保有する核弾頭の威力・性能等の一覧とその情報源については、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)のウェブサイト(「米国の核戦力一覧」、2021年6月1日時点)を見よ。同ウェブサイトによれば、W76-2の威力は、現在最も使用が危惧されている低出力核弾頭に該当する8ktとされている〕
※55 Wissenschaftlicher Dienst des Bundestages – WD2-3000-035/20.
※56 DeutscheWelle on 28.7.2021.
※57 WSWS.ORG accessed on 28.10.2021, FR-online.de accessed on 24.10.2021, Spiegel.de accessed on 25.10.2021.
※58 FAZ.de accessed on 17.10.2020.
※59 IALANA, Atomzeitalter beenden, 2019, p.7.
※60 IALANA ibid.
※61 IALANA ibid.〔なお、このような偶発的な核戦争の危険性に関する簡潔な解説として、森川泰宏「偶発戦争」、広島市立大学広島平和研究所編『平和と安全保障を考える事典』(法律文化社、2016年)所収、同書143頁を見よ〕
※62 何点かの実例については、IALANA ibid., p.3 cont.
※63 Comp. Der Palme Bericht, Hrsg. Olof Palme/H. Rogge, Berlin 1982; IALANA ibid., p.8.〔なお、パルメ委員会の報告書(Common Security: A Programme for Disarmament Report of the Independent Commission on Disarmament and Security Issues under the Chairmanship of Olof Palme, 1982, Pan Books)の邦訳については、パルメ委員会(監訳:森治樹)『共通の安全保障:核軍縮への道標 パルメ委員会報告書』(日本放送出版協会、1982年)を見よ(本文下記に記述される引用に該当する部分は同書41頁)。さらに、パルメ委員会と共通の安全保障に関する簡潔な解説として、斎藤嘉臣「パルメ委員会」、遠藤誠治「共通の安全保障」、広島市立大学広島平和研究所編『平和と安全保障を考える事典』(法律文化社、2016年)所収、同書503頁、137-138頁;安全保障と核軍縮との協働的関係の分析枠組みを含め、共通の安全保障の現代的意義を考える際の基点となる論稿として、髙橋敏哉「軍縮の安全保障観:共通の安全保障の再考察」、日本軍縮学会編『軍縮・不拡散の諸相:日本軍縮学会10周年記念』(信山社出版、2019年)所収、同書91-112頁を見よ〕
※64 See footnote 3, Otfried Nassauer on Bits.de, Aus der Zeit gefallen – Atomwaffen in Deutschland, Interview 7.7.2020.
※65 See footnote 32.
※66 See footnote 27.