メディア・リリース
バンクーバー宣言は、核兵器が国際人道法と両立しえないことを確認する
2011年3月23日
本日、バンクーバー宣言が、サイモン財団(The Simons Foundation)と国際反核法律家協会(IALANA)により発表された。これには、国際法と外交に関する著名な専門家たちが署名した。同宣言は、普遍的に戦闘中で禁止されている事柄を定めた国際人道法と核兵器とが両立しえないことを確認している。同宣言は、核兵器が制御不能な爆風や熱線、放射線の効果を伴う、まさに大量破壊兵器であって、その性質上、無差別で不均衡な危害を禁止する基本的規則と両立できない兵器だとしている。
バンクーバー宣言の題目は、「核兵器のない世界を緊急に達成することを求める法の要請」であり、その結論として、諸国に対し、1996年国際司法裁判所(ICJ)が(核兵器勧告的意見において)全員一致で宣言した法的義務が要請しているとおり、地球規模での核兵器の禁止と廃絶について交渉を開始しかつ完結させることを呼びかけている。同宣言の付属文書では(核兵器への)適用法が特定されており、「その使用または使用の威嚇が違法である兵器であって、すでにほとんどの国家について禁止されており、かつ廃絶の義務の対象となっているものがある。これを無期限に保有し続けることは合法ではありえない」と述べている。
多くの署名者の中には次の人々も含まれている。クリストファー・G・ウィーラマントリー(元ICJ次長、現IALANA会長)、モハメド・ベジャウィ(核兵器勧告的意見の際のICJ所長)、ルイズ・ドズワルド=ベック(ジュネーブ国際開発高等研究所の国際法教授、赤十字国際委員会による慣習国際人道法に関する研究の共著者)、ヴェド・ナンダ(エヴァンス大学教授、ナンダ国際比較法センター、デンバー大学法学部)、ジャヤンタ・ダナパラ(元国連事務次長(軍縮問題担当))、ギャレス・エバンス(元オーストラリア外相、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会共同議長)(訳注)。
サイモン財団と国際反核法律家協会は、両団体が開催した会議での成果に基づき同宣言を作成した。この会議は、2011年2月10日と11日にカナダのバンクーバーで開催され、国際法や外交、核兵器に関する専門家約30名が参加した。
ジェニファー・サイモン博士(サイモン財団総裁)は次のように述べている。「私の望みは、IALANAも同じですが、核兵器ゼロへの道に関する議論にあって、このバンクーバー宣言が、その不可欠な要素である、核兵器の非人道性と違法性を強調し、廃絶を早めることに役立つことです。核兵器の保有は国際犯罪であるべきなのです。」
米国その他の裁判所で国際人権訴訟を担当し、ICJの核兵器勧告的意見では各国政府の陳述に助言をしてきているピーター・ワイス現IALANA副会長は、こうコメントしている。「地球の生存の確保といった圧倒的な問題群を法だけで解決することはできません。しかし、法を無視してこれに対処することもできないのです。この宣言の起草者たちやこれに署名し、そしてこれから署名する人々は、この宣言をこの議論に寄与するものとして各国政府や市民社会に提示しています。日本で生じている恐ろしい出来事が強調しているのは、炉心溶融によるものであれ核爆弾によるものであれ、人類を放射線に曝すリスクとともに生き続けるのは危険であるということなのです。」
ジョン・バロース博士(核政策法律家委員会執行理事、IALANA国連事務所)はこう述べている。「オバマ大統領とインドのシン首相は昨年の共同声明で、『60年に及ぶ核兵器不使用の国際規範の強化』を支持すると述べました。バンクーバー宣言が示しているのは、核兵器の不使用は賢明な政策であるだけでなく、法によっても要請されているということなのです。」
この宣言と署名者のリストは以下のサイトに掲載されている。
http://www.thesimonsfoundation.ca
http://www.lcnp.org
(訳注) なお、日本からの署名者は、2011年3月29日現在で以下のとおり。新倉修、浦田賢治、山田寿則、阿部信泰、秋葉忠利、梅林宏道、西原正(署名者リスト掲載順)。
サイモン財団(The Simons Foundation)は、私設の慈善基金団体であって、平和、軍縮、国際法および人間の安全保障について教育を通じて積極的変革を進めることに貢献している。バンクーバーを拠点とし、主要な世界規模の平和プロジェクトの提案および参加、ハイレベルでの戦略・政策対話のための地球規模での指導者の招聘、フェローシップや講座を通じての重要な学術研究の後援、ならびに学術的イベントや公開イベントの開催主体および政策推進のための共同出版者としても活動している。詳細は以下を参照。
http://www.thesimonsfoundation.ca
国際反核法律家協会(IALANA)は、核戦争の防止、核兵器の廃絶、国際法の強化および国際紛争の平和的解決の奨励を目指して活動している。詳細は以下を参照。
http://www.ialana.netおよび
http://www.lcnp.org
このメディア・リリースの原文は以下
http://www.lcnp.org/wcourt/Feb2011VancouverConference/declarationmediarelease.pdf