日本反核法律家協会
会長 大久保賢一
10月11日、ノーベル平和賞選考委員会は、2024年のノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)を選考したと発表しました。日本反核法律家協会(JALANA)は、日本被団協の受賞を、心より祝福し、歓迎します。
授賞理由として、選考委員会は、日本被団協が、「被爆者として知られる広島・長崎の原爆の生存者による草の根運動であり、核兵器のない世界を実現するための努力と、核兵器が二度と使われてはならないことを、目撃証言を通じて示した功績が評価され、平和賞を受賞することになった」と説明しています。その上で、日本被団協の活動について、「日本被団協は、数千件に及ぶ証言を収集し、決議や公開アピールを発表し、毎年代表団を国連やさまざまな平和会議に派遣し、核軍縮の緊急性を世界に訴え続けてきました。いつの日か、被爆者は歴史の証人ではなくなるでしょう。しかし、記憶を留めるという強い文化と継続的な取り組みにより、日本の若い世代は被爆者の経験とメッセージを継承しています。彼らは世界中の人々を鼓舞し、教育しています。このようにして、人類の平和な未来の前提条件である核兵器のタブーを維持する手助けをしているのです」と評価しました。
1956年の結成以来、70年近くにわたって核兵器の非人道性を国際社会に訴え、核兵器禁止条約の成立にも多大な貢献をした日本被団協の業績の重要さは計り知れません。
2021年1月22日に発効した核兵器禁止条約(TPNW)は、既に94ヵ国が署名し、73か国が批准していますが、日本被団協の受賞は、核抑止に依存するのではなく、TPNWに署名・批准して核兵器の廃絶を進めることが国際社会の常識であることを示すとともに、未だ署名を行わない国家、とりわけ核保有国や、唯一の戦争被爆国である日本の政府に対し、一日も早い参加を求める平和賞選考委員会からの強いメッセージでもあります。
人類と核兵器は、共存できません。私たち日本反核法律家協会は、被爆者に寄り添って、原爆症認定集団訴訟やノーモア・ヒバクシャ訴訟、黒い雨訴訟などにともにとりくんできた日本の法律家として、今後も志を同じくする日本被団協と連携し、核兵器の廃絶を推進し、日本政府に核兵器禁止条約の批准と、核兵器も戦争もない世界を実現することを求めていきます。
2024年10月12日